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「薬餌〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

薬餌の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
去年」より 著者:伊藤左千夫
とはない……」 こう自分ではいったけれど、知覚精神を失った最後の数時間までも、薬餌をしたしんだ。匙であてがう薬液を、よく唇に受けてじゅうぶんに引くのであった。....
愛卿伝」より 著者:田中貢太郎
らえた自作の歌であった。 一別三年 一日三秋 君何ぞ帰らざる 記す尊姑老病 親ら薬餌を供す 塋を高くして埋葬し 親ら麻衣を曳く 夜は燈花を卜し 晨に喜鵲を占う ....
小説 不如帰 」より 著者:徳冨蘆花
からぬ命をつながんとするぞ。 されど父の愛あり。朝に夕に彼女が病床を省し、自ら薬餌を与え、さらに自ら指揮して彼女がために心静かに病を養うべき離家を建て、いかに....
浮雲」より 著者:二葉亭四迷
ふうじゃ》から余病を引出し、年比《としごろ》の心労も手伝てドット床に就《つ》く。薬餌《やくじ》、呪《まじない》、加持祈祷《かじきとう》と人の善いと言う程の事を為....
十二支考」より 著者:南方熊楠
分立せぬ時、半ば学理半ば迷想に由りて盛んに行われたもので(今日とてもこの類の物が薬餌《やくじ》香飾等と混じて盛んに行わるるは、内外新紙の広告で知れる)、形状作用....
四十八人目」より 著者:森田草平
足腰が立たず、破れた壁に添うて寝かされたまま、娘が茶店の隙間をみては、駈け戻って薬餌をすすめたり、大小便の世話までしてくれるのを待っているというありさまであった....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
序 ベーリング黄金郷の所在を知ること ならびに千島ラショワ島の海賊|砦のこと 四月このかた、薬餌から離れられず、そうでなくてさえも、夏には人一倍弱いのであるが、この夏私は、....
日本男子論」より 著者:福沢諭吉
らずといい、内君《ないくん》七年のレウマチスに、主人は家業の傍《かたわ》らに自ら薬餌《やくじ》を進め、これがために遂に資産をも傾けたるの例なきにあらず。 これ....
熱情の人」より 著者:久保栄
における主事としての活躍は、熱情そのものの結晶であって、あるいはこれが近来とかく薬餌に親しまれる機会の多かった先生の死期を早めたのではないかとさえ考えられる。 ....
寒中滞岳記」より 著者:野中至
山は予に於て実に重大の関係あるが故に、差当《さしあた》りこの病を医すべき適切なる薬餌《やくじ》を得、なお引続き滞岳《たいがく》して加養せんことを懇請《こんせい》....
武士道の山」より 著者:新渡戸稲造
して教え、恩を加えずして保護し、説かずして化し、助けずして補い、施さずして救い、薬餌を与えずして癒《いや》し、論破せずして信服せしむ。彼らは小児の如く戯れかつ笑....
」より 著者:神西清
食物とてはひとり凍てたる馬鈴薯あるのみと。女医補及びソーボリ(当地の郡会医)も、薬餌よりはパンを先決問題とするとき、もとよりパンの持ち合わせはなきものゆえ、如何....
性に眼覚める頃」より 著者:室生犀星
んで、清い水で嚥むと、ふしぎに憑きものや、硬ばった死人が自由に柔らかくなるという薬餌であった。私はそれを見るごとに不思議な気がした。 もう一つは「おくじ」をひ....
黒田如水」より 著者:吉川英治
一処士にも似たる風采の人があった。 去年の秋以来、ここの僧房に籠って、ひたすら薬餌と静養につとめていた病半兵衛|重治である。 供はただ一人の武士しかついてい....
大岡越前」より 著者:吉川英治
から、愚かというのです。神に祈って、何になりましょう。なぜ、園子や子等のために、薬餌をとって、温かに眠り、身を安楽にしていてくれないかと」 「良人たるお奉行が、....