»
薺
「薺〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
薺の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
る。まだ北風の寒い頃、子を負った跣足の女の子が、小目籠と庖刀を持って、芹、嫁菜、
薺、野蒜、蓬、蒲公英なぞ摘みに来る。紫雲英が咲く。蛙が鳴く。膝まで泥になって、巳....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
をまつの内はあわただしく過ぎて、七日のまだき、澄みきった旦の空気に高々と響き亘る
薺打ちの音、「七草なずな、唐土の鶏が、日本の土地に、渡らぬ先に、ストトントン」と....
「太十と其犬」より 著者:長塚節
は太十をなくして畢ってぽさぽさと独りで帰ることがある。春といっても横にひろがった
薺が、枝を束ねた桑畑の畝間にすっと延び出して僅かに白い花が見え出してまだ麦が首を....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
、烏や鳶は、むしゃむしゃと裂いて鱠だし、蝸牛虫やなめくじは刺身に扱う。春は若草、
薺、茅花、つくつくしのお精進……蕪を噛る。牛蒡、人参は縦に啣える。 この、秋は....
「大和路・信濃路」より 著者:堀辰雄
、奈良へ著《つ》いたすぐそのあくる朝、途中の山道に咲いていた蒲公英《たんぽぽ》や
薺《なずな》のような花にもひとりでに目がとまって、なんとなく懐かしいような旅びと....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
が日南の二三尺 から/\と切凧走る河原かな 藪入の昼寝もしたり南縁 きぬ/″\や
薺に叩き起されつ 病中新年 寝て聞けば知る声々の御慶かな 子規を訪ひて ....
「万葉秀歌」より 著者:斎藤茂吉
〔巻十・一八七九〕 作者不詳 菟芽子は巻二の人麿の歌にもあった如く、和名鈔に
薺蒿で、今の嫁菜である。春日野は平城の京から、東方にひろがっている野で、その頃人....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
地上へ、大小の、円や方形の、黄金色の光の斑を付け、そこへ萠え出ている、菫や土筆や
薺の花を、細かい宝石のように輝かせ、その木洩れ陽の通い路の空間に、蟆子や蜉蝣や蜂....
「車上の春光」より 著者:正岡子規
坐っていそがしそうに面を塗って居る。 突きあたって右へ行く。二階の屋根に一面に
薺《なずな》の生えて居る家がある。 突きあたって左へ行く。左側に縄暖簾《なわの....
「呼ばれし乙女」より 著者:岡本かの子
みたと思われる所業も敢てする。現に慶四郎の傑作の一つとなっている新箏曲の小品「恋
薺」は、正月の七草を昔風に姉の仲子にはやして切っていた姉の姿はおかしくも美しかっ....
「野草雑記・野鳥雑記」より 著者:柳田国男
とし、他をまちがいとすることはいよいよ道理がないと、私などは思っているのである。
薺のたけたのをペンペン草ということは、東京の人たちもよく知っているが、何故にそう....