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「藁屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

藁屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
放送された遺言」より 著者:海野十三
を失ってしまい、反対派の学者のふりかざす邪剣のもとに集まり、大河が氾濫して小さな藁屋に襲いかかるがごとく押し寄せてきて、私の名誉を傷つけ、幸福をうばい、あまつさ....
海異記」より 著者:泉鏡花
三 こんな年していうことの、世帯じみたも暮向き、塩焼く煙も一列に、おなじ霞の藁屋同士と、女房は打微笑み、 「どうも、三ちゃん、感心に所帯じみたことをおいいだ....
星あかり」より 著者:泉鏡花
路の両側しばらくのあいだ、人家が断えては続いたが、いずれも寝静まって、白けた藁屋の中に、何家も何家も人の気勢がせぬ。 その寂寞を破る、跫音が高いので、夜更....
若菜のうち」より 著者:泉鏡花
て、一方、なだらかな山懐に、桜の咲いた里景色。 薄い桃も交っていた。 近くに藁屋も見えないのに、その山裾の草の径から、ほかほかとして、女の子が――姉妹らしい....
小春の狐」より 著者:泉鏡花
ます。」 山沿の根笹に小流が走る。一方は、日当の背戸を横手に取って、次第|疎に藁屋がある、中に半農――この潟に漁って活計とするものは、三百人を越すと聞くから、....
転機」より 著者:伊藤野枝
った。 ようやくに、目指すS青年の家を囲む木立がすぐ右手に近づいた。木立の中の藁屋根がはっきり見え出した時には、沼の中の景色もやや違ってきていた。木立はまだ他....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
く渡した廻廊かとも視められる。 灯もやや、ちらちらと青田に透く。川下の其方は、藁屋続きに、海が映って空も明い。――水上の奥になるほど、樹の枝に、茅葺の屋根が掛....
海の使者」より 著者:泉鏡花
の、小橋の彼方は、一面の蘆で、出揃って早や乱れかかった穂が、霧のように群立って、藁屋を包み森を蔽うて、何物にも目を遮らせず、山々の茅薄と一連に靡いて、風はないが....
星女郎」より 著者:泉鏡花
里が浅くなって、われ一人、草ばかり茂った上に、影の濃いのも物寂しい。 それに、藁屋や垣根の多くが取払われたせいか、峠の裾が、ずらりと引いて、風にひだ打つ道の高....
トロッコ」より 著者:芥川竜之介
彼にもわかり切っていた。 その次に車の止まったのは、切崩した山を背負っている、藁屋根の茶店の前だった。二人の土工はその店へはいると、乳呑児をおぶった上さんを相....
蜜柑」より 著者:芥川竜之介
貧しい町はずれの踏切りに通りかかっていた。踏切りの近くには、いずれも見すぼらしい藁屋根や瓦屋根がごみごみと狭苦しく建てこんで、踏切り番が振るのであろう、唯|一旒....
春昼後刻」より 著者:泉鏡花
ょっと更まった容子をして、うしろ見られる趣で、その二階家の前から路が一畝り、矮い藁屋の、屋根にも葉にも一面の、椿の花の紅の中へ入って、菜畠へ纔に顕れ、苗代田でま....
瓜の涙」より 著者:泉鏡花
向に桃を見ると、その樹のあたりから路が坂に低くなる、両方は、飛々|差覗く、小屋、藁屋を、屋根から埋むばかり底広がりに奥を蔽うて、見尽されない桜であった。 余り....
夫人利生記」より 著者:泉鏡花
、鐘の星も映りそうだが、別に札を建てるほどの名所でもない。 居まわりの、板屋、藁屋の人たちが、大根も洗えば、菜も洗う。葱の枯葉を掻分けて、洗濯などするのである....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
な。私の居た畷へ入って来たその二人は、紋着のと、セルの袴で。……田畝の向うに一村藁屋が並んでいる、そこへ捷径をする、……先乗とか云うんでしょう。 私は、笑いな....