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藁火
「藁火〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
藁火の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「奈々子」より 著者:伊藤左千夫
なお一息と走った。 わやわやと騒がしい家の中は薄暗い。妻は台所の土間《どま》に
藁火《わらび》を焚《た》いて、裸体《らたい》の死児《しじ》をあたためようとしてい....
「少年と海」より 著者:加能作次郎
らしていました。鳶が悠々と低い空を翅っていました。 夕暮方に、この浜には盛んな
藁火の煙があがりました。それは為吉の死骸をあたためるためでした。為吉の父も母も、....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
もして身を温めてやらぬことには慄《ふる》え上ってものの用には立つまい――と内々|
藁火《わらび》の用意まで心がけて待構えていると、岸へ上った右の裸男は、そこで頭上....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
火を、早く火をお焚き下さい」 「おい、早く焚附を、薪を持て」 「薪ではいけない、
藁火《わらび》を……藁を」 彼等は口々に騒ぐけれども、この武士階級を取巻いてい....
「ジャン・クリストフ」より 著者:豊島与志雄
れた。もとよりそれらの友のうちで、長く僕に忠実だった者はごく少ない。彼らの友情は
藁火《わらび》にすぎなかった。それでも結構だ。闇夜《やみよ》の中ではその一時の光....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
。
また両者の間には、熱の強度の差も存する。反乱は多く噴火山であり、暴動は多く
藁火《わらび》である。
前に言ったごとく、謀叛《むほん》は時として政府の権力の....
「秦の出発」より 著者:豊島与志雄
、或る時は無関心以上に冷淡になる。何が契機でそうなるのか、僕には見当もつかない。
藁火のように燃えたつかと思えば、水をかけた灰のように冷たくなる。何でそうなるのか....
「鴛鴦鏡」より 著者:岡本綺堂
、私たちの出張したときには、もう岸の上に引揚げられて、しょせん無駄とは知りながら
藁火などで温められていた。 この場合、他殺か自殺かを決するのが第一の問題である....
「日本の伝説」より 著者:柳田国男
した。この朝早く子供たちは、米の粉を持って来て地蔵のお顔に塗り、その夕方にはまた
藁火を焚いて、真黒にいぶしました。そうして「明年の、明年の」とはやして、お別れの....