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「藤蔓〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

藤蔓の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
素戔嗚尊」より 著者:芥川竜之介
彼はその流れに沿って、再び熊笹を掻き分けて行った。するとしばらくして向うの岸へ、藤蔓《ふじづる》を編んだ桟橋《かけはし》が、水煙《みずけむり》と雨のしぶきとの中....
「いき」の構造」より 著者:九鬼周造
《はんげつまど》とを許し、また床柱の曲線と下地窓《したじまど》の竹に纏《まと》う藤蔓《ふじづる》の彎曲《わんきょく》とを咎《とが》めない。これはいずれの建築にも....
」より 著者:岡本かの子
二人の坐っている病院の焼跡のひとところに支えの朽ちた藤棚があって、おどろのように藤蔓が宙から地上に這い下り、それでも蔓の尖の方には若葉を一ぱいつけ、その間から痩....
人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
カムポスが三上に会った地点――五本の大蕨。なお、それに加えて千フィートあまりの、藤蔓が三人分用意されている。 「これから、僕ら三人は沼の底へ、もぐってゆく」 ....
半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
ほえんだ。「縛られ地蔵を詠んだ句でしょうが、俳諧だから風流に藤の花と云ったので、藤蔓で縛るなぞはめったに無い。みんな荒縄で幾重にも厳重に引っくくるのだから、地蔵....
中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
廬山の蟒蛇 廬山のみなみ、懸崖千尺の下は大江に臨んでいる。その崖の半途に藤蔓のまとった古木があって、その上に四つの蜂の巣がある。その大きさは五|石を盛る....
探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
れました。うしろ向きになっているので、その人相は判りませんけれども、長い髪の毛を藤蔓のようなものでぐるぐると巻き付けて、肩のあたりに垂れていました。着物は縞目も....
生死卍巴」より 著者:国枝史郎
ばかりが持つ、霊的な顔立ちを備えているのである。 彼らは輿を担いでいた。白木と藤蔓とで作られた輿で、柄ばかりが黒木で出来ていた。四人の若者が担いでいる。どこか....
加利福尼亜の宝島」より 著者:国枝史郎
しれない。物語の中の宝物は、この陸のどこかにあるのかもしれない」 岸の木立ちへ藤蔓で舟をしっかり繋いでから、ジョン少年は上陸した。そうして奥の方へ歩いて行った....
くろん坊」より 著者:岡本綺堂
みんな来てくれ。」 源兵衛は四人を連れて帰って、かねて用意してあったらしい太い藤蔓を取出した。 「おれはこの蔓を腰に巻き付けるから、お前たちは上から吊りおろし....
死剣と生縄」より 著者:江見水蔭
に云う手繰り渡しに成っているのだ。それは両岸に高く材木を三本組合せて立て、それに藤蔓を綯って引張って置き、それに小さな針鉄の輪を箝めて、其輪に綱を結んで、田船の....
怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
脂肪の肥えた処を細かに割って、少しずつ燃してあった。 室内に目立つのは、幾筋も藤蔓を張って、それに吊下げて有る多数の印籠。二重物、三重物、五重物。蒔絵、梨地、....
「太平洋漏水孔」漂流記」より 著者:小栗虫太郎
ったが……。そうだ、一番それを使って、この沼をわたってやろう」 やがて、ほそい藤蔓のさきに小鳥をつけて飛ばしているうちに、キーッという叫び声とともに、ぐっと手....
書記官」より 著者:川上眉山
岡の前にあらわれぬ。流れに渡したる掛橋は、小柴の上に黒木を連ねて、おぼつかなげに藤蔓をからみつけたり。橋を渡れば山を切り開きて、わざとならず落しかけたる小滝あり....
白峰の麓」より 著者:大下藤次郎
近くの草叢から飛出す。ハタハタと彼方に音するのは、鳩であろう。山毛欅の大木に絡む藤蔓、それをあなたこなたと跳び走っているのは栗鼠である。 熊笹を分けて一筋道を....