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「藪蚊〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

藪蚊の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「偸盗」より 著者:芥川竜之介
につき出した高い檐《のき》に、月も風もさえぎられて、むし暑い暗がりが、絶えまなく藪蚊《やぶか》に刺されながら、酸《す》えたようによどんでいる。藤判官《とうほうが....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
あの婆さん、なかなか厳重ですから……」 云いかけて、元八は眼口《めくち》を撲つ藪蚊を袖で払った。一生懸命の場合でも、ここらの名物の藪蚊には彼も辟易《へきえき》....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
こへか忙がしそうに出て行った。あたりはだんだんに薄暗くなって、どこからとも無しに藪蚊のうなり声が湧き出して来たので、半七は舌打ちした。 「庄太の奴め、そそくさし....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いるうちに、萩を一ぱいに植え込んであるらしい庭先もすっかり暗くなって、庭も座敷も藪蚊の声に占領されてしまった。 「日が暮れたのに蚊いぶしを持って来やあがらねえ。....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
いうことには馴れているので、さのみ待ちくたびれるという程でもありませんでしたが、藪蚊の多いには恐れいりました。今と違って、むかしは蚊が多いので、こういう時にはい....
「地球盗難」より 著者:海野十三
それはもちろん異常なる緊張にもよることだったけれど、一つには夏の戸外にはとても藪蚊が沢山いることを忘れていたせいもあった。実際夜露を凌ぐにいい繁みの間には、注....
「三浦老人昔話」より 著者:岡本綺堂
人とむかい合っていたときに聴かされた昔話の一つである。その頃に比べると、こゝらの藪蚊はよほど減った。それだけは土地繁昌のおかげである。 老人は語った。 これ....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
いのに、秋の虫が多く聴かれないのは、わたしの心を寂しくさせた。虫が少ないと共に、藪蚊も案外に少なかった。わたしの家で蚊やりを焚いたのは、前後ふた月に過ぎなかった....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
離れなかった。それが五分もつづいた。十分もつづいた。二人はもう根負けがしたのと、藪蚊に襲われる苦しさとで、思わず身動きをすると、かれらを包んでいるすすきの葉がざ....
「風波」より 著者:井上紅梅
行った。河端の烏臼木の葉はからからになって、ようやく喘ぎを持ち堪えた。いくつかの藪蚊は下の方に舞いさがって、ぶんぶんと呻った。農家の煙筒のけむりは刻一刻と細くな....
「蜘蛛の夢」より 著者:岡本綺堂
ますと、表でさえも暗いのに、家のなかにはまだ燈火もつけていないらしく、そこらには藪蚊の唸る声が頻りにきこえます。 「おや、おっかさんはいないのかしら。」 そう....
「山椒魚」より 著者:岡本綺堂
しょんぼりと坐っていた。宿の者が供えたらしい線香の煙りが微かになびいて、そこには藪蚊のうなり声もきこえないほどに森閑と静まり返っていた。 宿の者の話によると、....
「郊外生活の一年」より 著者:岡本綺堂
深いのに、秋の虫が多く聴かれないのは、わたしの心を寂しくさせた。虫が少いと共に、藪蚊も案外に少かった。わたしの家で蚊やりを焚いたのは、前後二月に過ぎなかったよう....
「九月四日」より 著者:岡本綺堂
。 いたずらに感傷的の気分に浸っていても仕様がないので、うるさく附き纏って来る藪蚊を袖で払いながら、わたしは早々にここを立退いた。Ｋ氏の普請場に家の人は見えな....
「活人形」より 著者:泉鏡花
下男八蔵なり。かれ先刻泰助の後を跟け来りて、この座敷の縁の下に潜みており、散々｜藪蚊に責められながら、疼痛を堪うる天晴豪傑、かくてあるうち黄昏れて、森の中暗うな....