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「藻屑〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

藻屑の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
俊寛」より 著者:芥川竜之介
《そら》ざまに生《お》い上《あが》りて白髪《はくはつ》多し。よろずの塵《ちり》や藻屑《もくず》のつきたれども打ち払わず。頸《くび》細くして腹大きに脹《は》れ、色....
俊寛」より 著者:菊池寛
は、文治二年の如月半ばのことだった。 寿永四年に、平家の一門はことごとく西海の藻屑となり、今は源家の世となっているのであるから、俊寛に対する重科も自然消え果て....
惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
に。 × 一|艘の船が海賊船の重囲に陥った。若し敗れたら、海の藻屑とならなければならない。若し降ったら、賊の刀の錆とならなければならない。この....
海異記」より 著者:泉鏡花
漕ぎ分けて、飛ぶ鴎よりなお高く、見果てぬ雲に隠るるので。 留守はただ磯吹く風に藻屑の匂いの、襷かけたる腕に染むが、浜百合の薫より、空燻より、女房には一際床しく....
玄海灘密航」より 著者:金史良
かない思い出が一つある。この間も朝鮮人の密航船が玄海灘で難破して、一行二三十名が藻屑となったという報道を読んで、転た感深いものがあった。 その実私も釜山から一....
浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
の人々は、面白そうに笑いあった。 ああ、川上機関大尉は壮途半ばにして遂に南海の藻屑と消え去ってしまったのであろうか。その謎を包んだまま、波紋はどこまでもどこま....
空襲警報」より 著者:海野十三
古の大軍が兵船を連ねて日本に攻めてきたときには、はからずも暴風雨に遭って、海底の藻屑になってしまったが、今日ではお天気の調べがついているから、暴風雨などを避ける....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
、鼠の家の三階建のような、取附の三段の古棚の背のね、物置みたいな暗い中から、――藻屑を曳いたかと思う、汚い服装の、小さな婆さんがね、よぼよぼと出て来たんです。 ....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
な、田の切目が、薬研形に崩込んで、二ツ三ツぐるぐると濁水の渦を巻く。ここでは稲が藻屑になって、どうどう流れる。もっとも線路から段々|下りに低いからね。山の裾で取....
紅毛傾城」より 著者:小栗虫太郎
思いのほか、意外にも、奇怪を極めた絵となって飛びついてきたからだ。すでに、海底の藻屑と消えたはずの父ステツレルの顔が、つぶれた左眼を暗くくぼませて、寒々とこちら....
潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
燃料や食料を、積み得るだけ艇に移したうえ、室戸丸は、五発の砲弾を喰いそのまま藻屑と消えてしまったのである。 室戸丸は、みるみる悲惨な傾斜をなしてゆき、半ば....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
まま、無二無三に逃げ廻ったのである。体をもがくにつれて、帯や衣裳は脱げて落ちた。藻屑のように振り乱した髪を背に懸け、長い頸を延びるだけ延ばし、円い肩から、豊かな....
平家蟹」より 著者:岡本綺堂
なり。呉羽の局、綾の局、いずれも三十歳前後にて花のさかりを過ぎたる上※、磯による藻屑を籠に拾う。) 呉羽 のう、綾の局。これほど拾いあつめたら、あす一日の糧に不....
空飛ぶ悪魔」より 著者:酒井嘉七
東へ東へと飛び続けている。私の愛機は、あと数時間で、主人もろとも、波荒い太平洋の藻屑となることも知らずに、いとも調子よく活動を続けている。 沙里子は自分達二人....
フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
君が銭を投げた。 ところで、また、白日光耀の下で、形もない鰌の、日のこぼれの、藻屑の、ころころ田螺の、たまには跳ね蝦の立鬚まで掬おうとして、笊をかろく、足をあ....