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藻草
「藻草〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
藻草の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
種の嗅覚でも持っているかのように、堀割に沿った娼家の家並みのなかへ出てしまった。
藻草を纒ったような船夫達が何人も群れて、白く化粧した女を調戯《からか》いながら、....
「季節の植物帳」より 著者:佐左木俊郎
美的表示を知ろうとするだけである。 ○ 例えば、菌、苔《こけ》、
藻草のような植物でも、その所生の境遇と外囲の関係とによって初めて私達の詩的感覚を....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
、四季を通じて一定の温度を保ち、寒からず暑からず至極凌ぎよい。食物は、盲いた蝦、
藻草の類。底には、ダイヤモンドがあるが無用の大長物。さて、本日出口をさぐりさぐり....
「金魚撩乱」より 著者:岡本かの子
を与えられていたのであったが、夫婦の死後は誰も顧るものもなく憐れな魚達は長く池の
藻草や青みどろで生き続けていたのであった。この池の出来損いの異様な金魚を見ること....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
その水面に、※の背ではないかと思わせているのが、金色を帯びた美しい頭髪で、それが
藻草のように靡いているのだよ。けれども熊城君。僕はなにも職業的な観賞家じゃないの....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
なって、山から落ちた大石が池の中にはまり込んでいる、そうして水底から翡翠のような
藻草や、海苔のようにベタベタした芹みたいな植物が、青く透き通って見える、その一ツ....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
がありました。こんな道をとおるのははじめてのことでした。そこには花も咲いていず、
藻草も生えていません。ただむきだしな灰いろの砂地が、うずのながれの所までつづいて....
「村芝居」より 著者:井上紅梅
横笛だろう。宛転悠揚としてわたしの心を押し沈め、我れを忘れていると、それは豆麦や
藻草の薫の夜気の中に、散りひろがってゆくようにも覚えた。 その火は近づいた。果....
「人魚謎お岩殺し」より 著者:小栗虫太郎
尾鰭があった。 彼女は、猫のような優やかさで動いてゆき、身を差し伸べるときには
藻草のような髪が垂れ、それが岩礁の中で、果物の中の葉のように蒼々と見えた。 そ....
「俊寛」より 著者:倉田百三
寛の小屋。いそに漂着したる丸太や竹を梁や桁とし、芦を結んで屋根を葺き、苫の破片、
藻草、松葉等を掛けてわずかに雨露を避けたるのみ。すべて乏しく荒れ果てている。俊寛....
「剣侠」より 著者:国枝史郎
傍らに籃が置いてあったが、魚は一匹もいなかった。 川の水は濁りよごれてい、
藻草や水錆が水面に浮かび、夕日がそれへ色彩をつけ、その中で浮子が動揺してい、それ....
「鯛釣り素人咄」より 著者:佐藤垢石
鯛は普通二、三十|尋から、百二、三十尋の海底に、連続して点在する岩礁に生えている
藻草の間に棲んで餌を求めているのであるが、餌の移動に従って三、四十尋くらいの深さ....
「レモンの花の咲く丘へ」より 著者:国枝史郎
法使いの肩より離れて、高殿を見上げる) 女子 若様! 公子 (歌う) 屍には白き
藻草を着せかけん、 瞳の閉じし面には、 かぐろき髪の幾筋と 鈴蘭の花をのせて置く....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
って土を食べている。田螺は泥の中深く埋って、犬儒派の哲学者のようにすましている。
藻草も、岸辺の葦も沈黙のまま美しい線を空間に画いて立っている。 蜻蛉の幼虫は沈....
「洛北深泥池の蓴菜」より 著者:北大路魯山人
じゅんさいというものは、古池に生ずる一種の
藻草の新芽である。その新芽がちょうど蓮の巻葉のように細く巻かれた、ようよう長さ五....