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「蘇芳〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蘇芳の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
偸盗」より 著者:芥川竜之介
いのくま》の爺《おじ》は、戟《ほこ》をたばさみながら、隣にいる仲間をふり返った。蘇芳染《すおうぞめ》の水干《すいかん》を着た相手は、太刀《たち》のつばを鳴らして....
開化の良人」より 著者:芥川竜之介
言《ことば》を聞いていたが、静にその硝子戸棚の前を去って、隣のそれに並べてある大蘇芳年《たいそよしとし》の浮世絵の方へ、ゆっくりした歩調で歩みよると、 「じゃこ....
藪の中」より 著者:芥川竜之介
たな》とは申すものの、胸もとの突き傷でございますから、死骸のまわりの竹の落葉は、蘇芳《すほう》に滲《し》みたようでございます。いえ、血はもう流れては居りません。....
聖アレキセイ寺院の惨劇」より 著者:小栗虫太郎
よう。一八七五年と云えば、日本では違警罪布告以前で刑事警察の黎明期だ。ちょうど大蘇芳年の血みどろな木版画が絵草紙屋の店頭を飾っていた邏卒時代なんだが、その頃ドナ....
神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
な真紅の色に」 「つまり血のような色にだな」 「はいはいさようでございます」 「蘇芳か何かで染めるんだな」 すると小四郎は笑ったが、 「はいさようでございます....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
向に不案内じゃ。 侍女一 (笑う)お精進でおいで遊ばします。もし、これは、桜貝、蘇芳貝、いろいろの貝を蕊にして、花の波が白く咲きます、その渚を、青い山、緑の小松....
開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
では聞いておかない――返す刀で、峨々たる巌石を背に、十文字の立ち腹を掻切って、大蘇芳年の筆の冴を見よ、描く処の錦絵のごとく、黒髪山の山裾に血を流そうとしたのであ....
あとがき(『宮本百合子選集』第六巻)」より 著者:宮本百合子
の部分「揺れる樹々」につづいて「聴きわけられぬ跫音」そのほか「崖の上」「白霧」「蘇芳の花」「苔」などという小題をもって。 当時日本にはもう初期の無産階級運動が....
曠野」より 著者:堀辰雄
に覚えた。そうして女は殆どわれを忘れて、いそいで自分の小さな体を色の褪《さ》めた蘇芳《すおう》の衣のなかに隠したのが漸《や》っとのことだった。女には自分が見るか....
血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
頼母に介抱されていた。栞を介えている頼母の姿は、数ヵ所の浅傷と、敵の返り血とで、蘇芳でも浴びたように見えてい、手足には、極度の疲労から来た戦慄が起こっていた。 ....
復活祭」より 著者:久生十蘭
ふかしはじめた。 年のせいで咽喉の皮膚がたるみ、酒焼けなのか潮焼けなのか、首が蘇芳《すおう》でも塗ったように赤いので、そのへんが七面鳥の喉袋《のどぶくろ》みた....
奥の海」より 著者:久生十蘭
りが、明るくなったり暗くなったりする。 つい半月ほど前、古びた調度にかこまれ、蘇芳色の小|袿《うちぎ》を着て、几帳の陰に坐っていた。金十郎の瞼の裏に、そのとき....
だいこん」より 著者:久生十蘭
た鉄兜の兵隊が十人ほど乗っている。表情もタイプもふしぎなほどよく似ている。首筋が蘇芳《すほう》でも塗ったように真赤なところまでおなじだ。ちょうどウェルズの未来小....
金狼」より 著者:久生十蘭
としずまりかえっていた。うす暗い電気の下で、乾とハナがせっせと床をこすっていた。蘇芳《すおう》をまきちらしたようなおびただしい血のあとを、たわしに灰をつけて、ひ....
浮世絵画家の肉筆」より 著者:上村松園
た近世の作家のものが、少なかったように思います。たとえは明治時代に入ってからの大蘇芳年といったような人などのものは、つい見かけないようでした。 もっとも、寛永....