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蘭麝
「蘭麝〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蘭麝の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「一夜」より 著者:夏目漱石
く」と一人が評すると 「ビステキの化石を食わせるぞ」と一人が云う。 「造り花なら
蘭麝《らんじゃ》でも焚《た》き込めばなるまい」これは女の申し分だ。三人が三様《さ....
「ルバイヤート」より 著者:小川亮作
天のめぐりをはじめたお前は なんという痛恨を哀れな胸にあたえたのか? 紅玉の唇や
蘭麝の黒髪をどれだけ 地の底の小筥に入れたのか? 25 神のように宇宙が自由....
「斬られたさに」より 著者:夢野久作
。錦絵の役者振りの一種の妖気を冴え返らせたような眼鼻立ち、口元……夕闇にほのめく
蘭麝のかおり……血を見て臆せぬ今の度胸を見届けなかったならば、平馬とても女かと疑....
「名娼満月」より 著者:夢野久作
シャナリシャナリと人垣の間を遠ざかって行った。あとから続く三味太鼓の音。漂い残す
蘭麝のかおり。 「……満月……満月……」 と囁やき交しながら雪崩れ傾いて行く人....
「悟浄出世」より 著者:中島敦
。水草も魚の影も卒然《そつぜん》と渠の視界から消え去り、急に、得《え》もいわれぬ
蘭麝《らんじゃ》の匂《にお》いが漂うてきた。と思うと、見慣れぬ二人の人物がこちら....
「天守物語」より 著者:泉鏡花
人 差上げません。第一、あとで気がつきますとね、久しく蔵込んであって、かび臭い。
蘭麝の薫も何にもしません。大阪城の落ちた時の、木村長門守の思切ったようなのだと可....
「織成」より 著者:田中貢太郎
らくしてその柳の耳に鼓や笙の音が聞えて来た。柳はすこし眼が醒めかけたのであった。
蘭麝の香が四辺に漂っているのも感じられた。柳はそっと窺いてみた。舟の中は綺麗な女....
「蓮花公主」より 著者:田中貢太郎
かからなければならないと。」 暫くたってから珮環の音がちりちりと近くに聞えて、
蘭麝の香をむんむんとさしながら公主が出て来た。それは十六、七の美しい女であった。....
「レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
ってしまった。廃せられ砕かれ地に投ぜられて、もはや笏はなくなっている。ところが、
蘭麝《らんじゃ》のかおりを立てる刺繍《ししゅう》した小さなハンカチに対して、革命....
「怪異黒姫おろし」より 著者:江見水蔭
引掛けたが、尊き女※の切下げ髪、紫の打紐にキリキリと巻いたるにさえ、焚籠めてある
蘭麝待の名香。ついそれを鼻の先に嗅ぐからに、反対にこちらが眠り薬に掛ったかの様、....
「おせん」より 著者:邦枝完二
。ふふふ。世の中にこれ程のいい匂は、またとあるもんじゃねえや、伽羅沈香だろうが、
蘭麝だろうが及びもつかねえ、勿体ねえくれえの名香だぜ。――そんな遠くにいたんじゃ....
「墓」より 著者:正岡子規
を祈って居る。…………今日は誰も来ないと思ったら、イヤ素的《すてき》な奴が来た。
蘭麝《らんじゃ》の薫《かお》りただならぬという代物《しろもの》、オヤ小つまか。小....
「私本太平記」より 著者:吉川英治
をそろえていうのである。まかせるしかない。兼好は背をかがめて輿へ入った。ぷうんと
蘭麝の薫りがする。 と、そのとき外の者が笑った。なにか他愛なく輿の周りで噪ぎ合....