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「虚しい〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

虚しいの前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
」より 著者:島崎藤村
の状態にあった。時々彼は空な懐をひろげて、この世に居ない自分の娘を捜した……彼の虚しい手の中には、何物も抱締めてみるようなものが無かった……朝に晩に傍へ来る娘達....
死者の書」より 著者:折口信夫
ひき裂かれたらしい音である。だが其だけで、山は音どころか、生き物も絶えたように、虚しい空間の闇に、時間が立って行った。 郎女の額の上の天井の光の暈が、ほのぼのと....
続堕落論」より 著者:坂口安吾
に頼る以外に術のない宿命を帯びている。 善人は気楽なもので、父母兄弟、人間共の虚しい義理や約束の上に安眠し、社会制度というものに全身を投げかけて平然として死ん....
堕落論」より 著者:坂口安吾
ると、あのすさまじい偉大な破壊の愛情や運命に従順な人間達の美しさも、泡沫のような虚しい幻影にすぎないという気持がする。 徳川幕府の思想は四十七士を殺すことによ....
阿部定という女」より 著者:坂口安吾
と共に一つに帰したような思いもしたろうと思われます。 そういうアゲクに吉さんの虚しい屍体を置き残して立ち去るとすれば、最愛の形見に一物を斬りとることも自然であ....
三十歳」より 著者:坂口安吾
すぼらしい魂の人間なんだ。然し、そういうあなたの本心はどうだ。あなたこそ、小さな虚しい盛名に縋りついているんじゃないか。その盛名が生きがいなんだ。虚栄なんだ。見....
私は誰?」より 著者:坂口安吾
ャになればよいとすらも、考えていなかった。私はいつも退屈だった。砂をかむように、虚しいばかり。いったい俺は何者だろう。なんのために生きているのだろう、そういう自....
理想の女」より 著者:坂口安吾
それを書かうと希願しながら、いつも、醜怪なものしか書くことができないだけなのだ。虚しい一つの運動であるか。死に至るまで、徒に虚しい反覆にすぎないのか。書き現した....
小さな山羊の記録」より 著者:坂口安吾
方が、より大きかったが、まもなく、その希望の虚しさは明白となり、旅にでる時、その虚しい希望をもつことの負担の方が大きくなった。 私は旅に仕事にでる便利のために....
範疇としての空間に就いて」より 著者:戸坂潤
対立を先ず許しての上でなければ、主観が客観を構成するという転回的な言葉も実際上は虚しい合言葉に終る外はない。認識は主客の対立を予想する。故に逆に主客の対立を予想....
余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
りあまつて困るくらいだ。しかし、源太はいない。鉦や太鼓で探しても源太は寥々として虚しい。 いつてみれば源太は万葉調で四郎は新古今調だ。 四郎型が二枚目にした....
おみな」より 著者:坂口安吾
は尚も綿屑のように答えを忘れ睡ったふりをしていたのだ。子供の感傷に絡み合う自らの虚しい感傷が、なんとしてもひたすら面倒くさいものに思われていたから。 私は子供....
仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
ります。 虚栄はその字の示すとおり、むなしい栄えをのぞむことです。 もとより虚しいことです、ほんとうに手にも取り得ず、わが身を徒らに吹き過ぎる風のようなもの....