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虚心坦懐
「虚心坦懐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虚心坦懐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「夜明け前」より 著者:島崎藤村
津川の商人について、横浜出稼ぎということも起こって来た。本居|大人のような人には
虚心坦懐というものがある。その人の前にはなんでも許される。しかし、血気|壮んで、....
「道標」より 著者:宮本百合子
た。
「それは個人的な感情ですよ。――ソヴェトの複雑さを理解するためには、いつも
虚心坦懐であることが必要です」
「吉見さん、あなたは第一日からなかなか辛辣なんで....
「近世快人伝」より 著者:夢野久作
って、透かさず舞台気分を高潮させ合い、共同一致のファインプレイを演出し合うだけの
虚心坦懐さがなければ仁輪加の花は咲かない。この生活苦と、仁義、公儀の八釜しい憂世....
「厨房日記」より 著者:横光利一
た。しかし、それでも梶は一口で日本を巧妙に説明しなければならぬ危い橋を渡るのだ。
虚心坦懐とは日本でこそ最も高貴な精神とされているが、ここでは最も馬鹿の見本であっ....
「「迷いの末は」」より 著者:宮本百合子
は嘗て高邁を称えた作家にふさわしい何物かを芸術としてのこしているのであろうか。「
虚心坦懐とは日本でこそ最も高貴な精神とされているが」「今のところ、如何なる国際列....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
のいたりして、ためつすがめつ、この木ぶり、枝ぶりを見ているのです。 その有様は
虚心坦懐で、眼中にただ、梅の木の木ぶり枝ぶりあるのみ。ちょっと当惑するのは日ざし....
「亡び行く江戸趣味」より 著者:淡島寒月
余の珍らしい玩具や、江戸の貴重な資料を全部焼失したが、別して惜しいとは思わない。
虚心坦懐、去るものを追わず、来るものは拒まずという、未練も執着もない無碍な境地が....
「三木清を憶う」より 著者:豊島与志雄
あっても、そしてそのために一部の人々から敵視せられることもあったが、彼自身はただ
虚心坦懐に振舞ってるに過ぎなかった。彼に対してはすべて、如何なることがあっても怒....
「街はふるさと」より 著者:坂口安吾
二 長平はルミ子の部屋へ泊りこむことになって、よいことをしたと思った。こんなに
虚心坦懐に、女にもてなされたり、女を愛したりして、深間の感情というものをまじえず....
「私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
す。 店の不統制、乱脈の責任は実に主人にあるのでありますから、主人なる者は常に
虚心坦懐、人にはあくまで公平にして私なく、かつ懇切なるを絶対条件と致します。 ....
「桜の園」より 著者:神西清
ところがありますね。まあそれも、一説として正しいかも知れません。がしかし率直に、
虚心坦懐に判断してみるとです、そもそもその誇りなるものが怪しいと言わざるを得ない....
「思い」より 著者:伊丹万作
と利益を唯一の目的として成立したものであつてみれば、彼らが利益を度外視して、真に
虚心坦懐に事をはかるというようなことは、実際問題として期待し得べきことかどうか、....
「歌の円寂する時」より 著者:折口信夫
す事は出来ない。常臥しの身の、臥しながら見る幽かな境地である。主観排除せられて、
虚心坦懐の気分にぽっかり浮き出た「非人情」なのではなかろうか。漱石の非人情論は、....
「法隆寺再建非再建論の回顧」より 著者:喜田貞吉
ず以てこれに眩惑せられて、為にその非再建を直覚するに至るのである。しかしながら、
虚心坦懐に考察するならば、これらの遺物はその再興後において、他の寺院より移された....
「黒田如水」より 著者:吉川英治
いささか眉をひらいて、当夜は城外にある自分の屋敷へ戻って寝んだ。 彼はあくまで
虚心坦懐をむねとしてこれへ帰って来たのである。何の策も持つまい。怒りも現わすまい....