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虚栄
「虚栄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虚栄の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「大導寺信輔の半生」より 著者:芥川竜之介
只《ただ》行人だった。彼は彼等を知る為には、――彼等の愛を、彼等の憎悪を、彼等の
虚栄心を知る為には本を読むより外はなかった。本を、――殊に世紀末の欧羅巴《ヨーロ....
「袈裟と盛遠」より 著者:芥川竜之介
己にはそれが、どうしてもある空虚な感じしか起させない。「この女は自分の夫に対して
虚栄心を持っている。」――己はこう考えた。「あるいはこれも、己の憐憫《れんびん》....
「煙管」より 著者:芥川竜之介
からではない。実は、煙管の形をしている、百万石が自慢なのである。だから、彼のこの
虚栄心は、金無垢の煙管を愛用する事によって、満足させられると同じように、その煙管....
「追憶」より 著者:芥川竜之介
いるものの、一円をすっかり使うことに逡巡してはいないであろうか? 四二
虚栄心 ある冬に近い日の暮れ、僕は元町通りを歩きながら、突然往来の人々が全然僕....
「隣の嫁」より 著者:伊藤左千夫
手本。いくら憎く思って見てもいわゆる糠に釘で何らの手ごたえもない。あらゆる偽善の
虚栄心をくつがえして、心の底からおとよさんうれしの思いがむくむく頭を上げる。どう....
「自叙伝」より 著者:大杉栄
糸場の看板をさげていた。そしてこれは喜八郎の営利心を満足させるよりも、むしろその
虚栄心のためのものであるようだ。喜八郎は新発田に生れた。何かで失敗して、近所じゅ....
「灰燼十万巻」より 著者:内田魯庵
惜しなければならない。眇たる丸善の損害は何程でもなかろうが、其肆頭の書籍は世間の
虚栄を増長せしむる錦繍|綾羅と違って、皆有用なる知識の糧、霊魂の糧である。金に換....
「「別居」について」より 著者:伊藤野枝
かなり長いこと苦しみました。それは、私の本当に行こうと欲している処と、対世間的の
虚栄心との長い争いがそんなに私を苦しめたのです。 最初に、二人の感情が不意にぶ....
「歯車」より 著者:芥川竜之介
たまま、トルストイの Polikouchka を読みはじめた。この小説の主人公は
虚栄心や病的傾向や名誉心の入り交った、複雑な性格の持ち主だった。しかも彼の一生の....
「スリーピー・ホローの伝説」より 著者:アーヴィングワシントン
りぬきの歌い手たちを引きつれて、教会の聖歌隊の場所の正面に席をしめることは、彼の
虚栄心をなみなみならず満足させたものである。そこに立つと、彼は牧師から完全に勝利....
「画道と女性」より 著者:上村松園
そそり立てられて、自分の天分などのことも知りもしないで、ただもう軽い浮ッかりした
虚栄心に駆られて、画家になりたいというような気を起こす人も大分あるようですが、一....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
して得られないものを持ってる。こういう女に多少の学問と独立出来る職業を与えたら、
虚栄に憧がれる今の女学校出の奥さんよりは遥に勝った立派な女が出来る、」と意気込ん....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
でると感服したり、貧乏人の娘が汚ない扮装をして怯めず臆せず平気な顔をしているのを
虚栄に俘われない天真爛漫と解釈したり、飛んでもない見当違いをする事が度々であった....
「和製椿姫」より 著者:大倉燁子
は連れ戻して、ここから葬式を出さないと困ります。それに美耶子は御承知の通り、大変
虚栄心の強い、大の見栄坊ですからね、東山夫人として死にたいのに定っています。また....
「鷺娘」より 著者:大倉燁子
承知したといいます」 「それを百合子が白状したのか?」 「どうして、あの勝気な、
虚栄心の強い女が自分の弱点を曝露するもんですか。彼女は鷺娘を踊ることになっていた....