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虚無的
「虚無的〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虚無的の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「女の決闘」より 著者:太宰治
さつ》も尋常で、気弱い笑顔は魅力的であります。散髪を怠らず、学問ありげな、れいの
虚無的なるぶらりぶらりの歩き方をも体得して居た筈でありますし、それに何よりも泥酔....
「冬の蠅」より 著者:梶井基次郎
は、同時に重っ苦しい不快感である。この不快感は日光浴の済んだあとなんとも言えない
虚無的な疲れで病人を打ち敗かしてしまう。おそらくそれへの嫌悪から私のそうした憎悪....
「性急な思想」より 著者:石川啄木
せている、或いは見ている人はないか。実際上の問題を軽蔑《けいべつ》する事を近代の
虚無的傾向であるというように速了している人はないか。有る――少くとも、我々をして....
「地球発狂事件」より 著者:海野十三
いた。水戸はこの友情に篤《あつ》いドレゴがその夜飲み過ぎたことと、日頃に似合わず
虚無的な影に怯えているらしいことを案じて彼の邸まで送って来たのである。そのときは....
「灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
乗り降りすることが何度もあった。荒々しい感情が街にみなぎっていた。しかしその中に
虚無的な香りもかなり強かった。私はぎゅうぎゅう体を押されながら、人の談話をかなし....
「わが血を追ふ人々」より 著者:坂口安吾
なつてゐた。それが全て人々の賞讃から得た果実であり、人の世の平凡、常識、低俗に、
虚無的な退屈を負ふた。すでに彼は十四にして断崖に孤絶し、足もとの奈落を冷然と見て....
「文化祭」より 著者:坂口安吾
二には今までとは別人の親友のようななつかしさも感じたのである。 ヤツ子はひどく
虚無的だった。キャバレーでどこかの社長とのんで、どこかへ連れこまれたりした時なぞ....
「明治開化 安吾捕物」より 著者:坂口安吾
、こうなってみると気が強い。と云って、凛然たる未亡人の気品には勝てないし、ひどく
虚無的なキク子にも圧倒されざるを得ないが、弟の一也の皮肉だけは、もう怖くはない。....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
た。しかし、すぐそのあとにかれの心をおそったものは、めいるようなさびしさであり、
虚無的な自嘲であった。そして、それ以来、これまでほとんど忘れていたようになってい....
「火の扉」より 著者:岸田国士
ることもあるが、むしろ一人でぽつねんとしていることの方が多く、彼女を相手に、多少
虚無的な、しかしほどよく詩的な調子をまじえた人生論などする男であつた。 筒井レ....
「安吾の新日本地理」より 著者:坂口安吾
はこの神様の真下、表参道の鳥居両側にズラリとあるのだが、高尾を斬った仙台の殿様の
虚無的な皮肉なのだか、敬神の思想によるのか、全然判断がつかねえや。神詣でのフリし....
「道なき道」より 著者:織田作之助
かヒヤリと感ずる程であった。一皮目の切れの長いその眼は、仮面の眼のようであった。
虚無的に迫る青い光を、底にたたえて澄み切っているのである。月並みに、怜悧だとか、....
「高原の太陽」より 著者:岡本かの子
あらゆる文化と廃頽の魔性の精がいて、この俊敏な青年の生命をいつかむしばみ白々しい
虚無的な余白ばかりを残して仕舞った。恰も自家中毒の患者を見るような憐みさえ、かの....
「唇草」より 著者:岡本かの子
土の醗酵した匂いが眼にか鼻にか判らない幽かな刺戟で浸みると、濁酒のような親しげな
虚無的な陶酔をほんのり与えた。 白い蝶が二つか三つか、はっきりしない縺れた飛び....
「仏教人生読本」より 著者:岡本かの子
となくいらいらして落付けぬ地獄です。虚無地獄、人生の何物にも張合いが持てなくなり
虚無的な気持ちばかりに襲われる地獄であります。神経衰弱地獄、神経過敏地獄、脱力し....