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虚礼
「虚礼〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虚礼の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「十円札」より 著者:芥川竜之介
。」
粟野さんの前に出た保吉は別人のように慇懃《いんぎん》である。これは少しも
虚礼ではない。彼は粟野さんの語学的天才に頗《すこぶ》る敬意を抱《いだ》いている。....
「M侯爵と写真師」より 著者:菊池寛
ている人には、気に入るに違いない。家令とか家職とか、その周囲の人たちが、社会上の
虚礼に囚われて、遠い所からのみ、ものをいっている時に、杉浦のような一本調子の向う....
「ケーベル先生の告別」より 著者:夏目漱石
ずになっている。しかし先生はもう二、三日まえから東京にはいないだろう。先生は虚儀
虚礼をきらう念の強い人である。二十年前大学の招聘《しょうへい》に応じてドイツを立....
「近時政論考」より 著者:陸羯南
もこの論派は現在の事弊につきて無感覚なるにあらず、国富論派が日本人民の旧思想ただ
虚礼虚儀に拘泥し卑屈服従偏倚して、個人的生存の気象なきを憂とし、もっぱらこの旧弊....
「惜別」より 著者:太宰治
内心の感動が大きければ大きいほど、拍手なんかするのは、その演説者に対する白々しい
虚礼のように思われ、かえって失礼なことではないかしら、黙っているのが本当の敬意だ....
「『静かなる愛』と『諸国の天女』」より 著者:宮本百合子
落ちよう(中略) おゝ詩はやわらかい言葉のためにあるのではない わがうたは社交と
虚礼のために奏でざれ あかつきの大気をくぐりぬけ 美しい霜のおくように そんなに....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
を捏ち上げた人達、朝に一条を加え、夕に一項を添えて、最後に一片の死屍にも似たる、
虚礼虚儀の凝塊を造り上げた人達――それ等はイエスを冒涜者と見做し、神を傷け、神の....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
宴を開かれたが、以前は家老でさえも膝行して盃を賜わるという風であったのを、そんな
虚礼はやめねばならぬといって、知事公と同席で盃の献酬などもして、酔いが回ると雑談....
「私の葬式」より 著者:坂口安吾
は思う。 告別式の盛儀などを考えるのは、生き方の貧困のあらわれにすぎず、貧困な
虚礼にすぎないのだろう。もっとも、そういうことに、こだわることも、あるいは、無意....
「女大学評論」より 著者:福沢諭吉
例甚だ多し。此辺より見れば女大学は人に無理を責めて却て人をして偽を行わしめ、虚飾
虚礼以て家族団欒の実を破るものと言うも不可なきが如し。我輩の所見を以てすれば、家....
「明日は天気になれ」より 著者:坂口安吾
して配達にでて倒れた。愛すべき実在のサンタクロース氏である。 年賀状はムダだ、
虚礼廃止だなどと昔から云われていることであるが、人生にムダや遊びが許されなかった....
「二葉亭四迷の一生」より 著者:内田魯庵
高談放論珍説|贅議を闘わすに日も足らずであった。 二葉亭はこの中に投じた。虚文
虚礼|便佞諂諛を賤しとして仕官するを欲しなかった二葉亭もこの意外なる自由の空気に....
「正宗谷崎両氏の批評に答う」より 著者:永井荷風
。 わたくしは二家の批評を読んで何事よりもまず感謝の情を禁じ得なかった。これは
虚礼の辞ではない。十年前であったなら、さほどまでにうれしいとは思わなかったかも知....
「食道楽」より 著者:村井弦斎
にいる時分|頻《しき》りに心の礼という事を主張して支那や我邦《わがくに》の礼式は
虚礼なり実礼にあらず、西洋の礼式も虚実|相半《あいなか》ばしている、社会の文明を....
「現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
して低調なる行動を常として、なすところの所作は一から十までが嘘のかたまりであり、
虚礼ならざるものはないとまでいってみても、あえて過言ではない今日のお茶、まことに....