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「虚脱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

虚脱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
世相」より 著者:織田作之助
。嫉妬で気が遠くなるような二日であった。石田が待合へ戻って来ると、再び情痴の末の虚脱状態。嗅ぎつけた細君から電話が掛る。石田を細君の手へ戻す時間が近づく。しごき....
地球発狂事件」より 著者:海野十三
も技術者も科学者も、この驚異的事態を真に了解した者は、いずれも皆茫然自失の結果、虚脱状態となってしまった。どうしたらいいのか、何も考えられない。どこから手をつけ....
海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
らなすべかりし事なるをマ司令部によりて断行されたるは笑止なれども、そこが敗戦国の虚脱ぶりならん。宮仕えがいやにて昭和十三年|逓信省を去りし私として本令の施行は何....
渾沌未分」より 著者:岡本かの子
ら、云い出されてかえって小初の心はしんと静まり返ってゆくのだった。そしてだんだん虚脱に似た無批判になってゆく心境のなかにいつか涼しい一脈の境界が透って来た。父に....
玄海灘密航」より 著者:金史良
も構わず乗り込むことを云うのだから、度胸云々どころではなく、全く命がけ以上の或は虚脱と云ったところであろう。何れにしても、この密航に関して私にははかない思い出が....
骸骨館」より 著者:海野十三
れた。だが、やっぱり見つからずじまいであった。終戦直後はみんなが生ける屍のように虚脱状態にあったので、ほんとうにうっかり処分されてしまったのかも知れなかった。と....
灰色の記憶」より 著者:久坂葉子
文字。それらが、皆私の反対の位置であり、私を苦しめた。私はそこからうまれたひどい虚脱状態の後、私一個の生命に対して愛やあわれや深い意味ある感動を、全く失ってしま....
夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
せんし、また、事実些程の出血がなかったにも拘らず、てっきり大出血を思わせるような虚脱状態が現われて居ります」と寂蓮尼はキッパリと云い切ってから、「そうしますと貴....
郷愁」より 著者:織田作之助
眼で……。 それはもう世相とか、暗いとか、絶望とかいうようなものではなかった。虚脱とか放心とかいうようなものでもなかった。 それは、いつどんな時代にも、どん....
中毒」より 著者:織田作之助
はない。煙草が吸えなくなれば、私は何をしていいのだろうか。恐らく気が狂うか全くの虚脱状態になってしまうだろう。 起きなければ、起きなければと思いながらも一本と....
ドーヴィル物語」より 著者:岡本かの子
余りが綻びかけて居る唇。これらがその形のままで空虚になるのだ。そしてこの娘のこの虚脱には何という人を逃さぬ魅力があることだろう。 ――あなた、突然の電報で驚いた....
沼畔小話集」より 著者:犬田卯
んであった。道理で汚ない風姿はしていても、いつも髪だけはきれいに撫でつけていた。虚脱人 彼の田地は「茅山」――草葺屋根の材料にする茅刈り場――そのもののごとく....
夜光虫」より 著者:織田作之助
ない」 とも書いた。 例えば、小沢十吉! 普通なら、彼は復員直後の無気力な虚脱状態のまま、一種、根こぎにされた人となって、ぼんやり日を送ったところだろうが....
現代茶人批判」より 著者:北大路魯山人
声帯模写である。個性のひらめきを持ち合わさない人々、こんな習わしを不思議としない虚脱趣味の世界、これがお茶の道と心得られているのが現代茶人である。かかるが故に、....
私の履歴書」より 著者:浅沼稲次郎
9のまいたビラを読んで、薄々は感づいていたものの、まるで全身が空洞になったような虚脱感に襲われた。私はこれまで何度か死線をさまよった。早大反軍研事件後の右翼のリ....