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虚飾
「虚飾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虚飾の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「世相」より 著者:織田作之助
主義派の作家も達し得なかったリアリズムに徹しているのではなかろうか。そしてまた、
虚飾と嘘の一つもない陳述はどんな私小説もこれほどの告白を敢てしたことはかつてある....
「惜みなく愛は奪う」より 著者:有島武郎
但し己を愛するとは何事を示すのであろう。私は己れを愛している。そこには聊かの
虚飾もなく誇張もない。又それを傲慢な云い分ともすることは出来ない。唯あるがままを....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
女房に)おい、注げ。 女房酌す。 美女 (怯れたる内端な態度)もうもう、決して、
虚飾、栄燿を見せようとは思いません。あの、ただ活きている事だけを知らせとう存じま....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
も、ふ憫だ。――(いや、ますます降るわえ、奇絶々々。)と寒さにふるえながら牛骨が
虚飾をいうと(妙。)――と歯を喰切って、骨董が負惜しみに受ける処だ。 またあた....
「岡本一平論」より 著者:岡本かの子
愉快です。その間などにあって、氏に一味の「如才なさ」が添います。これは、決して、
虚飾や、阿諛からではなくて、如何なる場合にも他人に一縷の逃げ路を与えて寛ろがせる....
「『新訳源氏物語』初版の序」より 著者:上田敏
た所を見れば、これは殆ど言文一致の文章かと察しられる。源氏物語の文体は決して浮華
虚飾のものでない。軽率に一見すると、修飾の多過ぎる文章かと誤解するが、それは当時....
「夢殿殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
にも狂信者らしい、荒唐無稽を極めた妄覚と嗤うに相違ない。が、事実それには、微塵の
虚飾もなかったのだ。その三十分後には、法水麟太郎と支倉検事の二人が、北多摩軍配河....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
野 なかなか大した装束ではないか? 文麻呂 (両手を拡げて)これか? あははは。
虚飾をはぎとったのだ。本然の姿に戻ったのだ。剣刀身に佩き副うる丈夫のいでたちとは....
「淡島椿岳」より 著者:内田魯庵
実は衒気五分市気三分の覇気満々たる男で、風流気は僅に二分ほどしかなかった。生来の
虚飾家、エラがり屋で百姓よりも町人よりも武家格式の長袖を志ざし、伊藤八兵衛のお庇....
「斎藤緑雨」より 著者:内田魯庵
が長かったろう。緑雨は口先きばかりでなくて真実困っていたらしいが、こんな馬鹿げた
虚飾を張るに骨を折っていた。緑雨と一緒に歩いた事も度々あったが、緑雨は何時でもリ....
「三十年前の島田沼南」より 著者:内田魯庵
鶏群の一鶴であった。 が、清廉を看板にし売物にする結果が貧乏をミエにする奇妙な
虚飾があった。無論、沼南は金持ではなかった。が、その社会的位置に相応する堂々たる....
「単純化は唯一の武器だ」より 著者:小川未明
し、自から織り、それによって生活すべく信条づけられていたなら、そして、虚栄から、
虚飾から、また不正の欲望から生ずる一切のものを排除することができたなら、彼等は、....
「ラスキンの言葉」より 著者:小川未明
如きは、表面いかに、真摯を装うことありとも、冷徹たる批評眼の前に、真相を曝らし、
虚飾を剥がれずには置かれぬだろう。 一時の世評によって、其等の作家は全集ともな....
「今年の抱負」より 著者:大倉燁子
一つの物を書くとしても、今年は身体をはって、体当りでやって行きたいと思っている。
虚飾やヴェールにかくれていい加減にお茶を濁しておくような真似をしないで、裸になっ....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
一路を突進しようと決心した私だが、そのためには親類縁者との交渉を断ち、いっさいの
虚飾を捨てた生活が必要である。大阪もいや、神戸、横浜もいや、知った人が一人もいな....