»
虫けら
「虫けら〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虫けらの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
を感ずる。呼吸を吸い込むと胸の中に枯枝か屑のようなものがつかえ、咽喉はいらいらと
虫けらが這うように痒い。その不快さ。咳、濁って煤けた咳。六つも七つも続けさまに出....
「小田原陣」より 著者:菊池寛
で見損うのは当然である」と、喝破して、危機を逃れている。だから秀吉だって、政宗を
虫けらとは、最初から思っていないだろう。 とにかく、小田原陣は、烈しい戦争はな....
「愛と認識との出発」より 著者:倉田百三
抱くことができぬのである。ああ僕はどうすれば好いのだろう。 私は哀れな、哀れな
虫けらである。野良犬のごとくうろうろとして一定の安住所が無い。寂寞と悲哀と悶愁と....
「空気男」より 著者:海野十三
り目を見開いていった。 「――ああ貴郎ア、こんなところにいたんだネ。ウーム、この
虫けら奴」 捕虜 清家博士は妻君のために雁字がらめに縛りあげられ、ベッド....
「雪たたき」より 著者:幸田露伴
者の栄え行くのを見送っている、癇に触る奴めらが世間一杯。一々たたき斬って呉れたい
虫けらども。其
虫けらにそれがしがなろうや。もとよりとげとげしい今の此世、それがし....
「縷紅新草」より 著者:泉鏡花
。住むにも、食うにも――昨夜は城のここかしこで、早い蛙がもう鳴いた、歌を唄ってる
虫けらが、およそ羨しい、と云った場合。……祖母さんは耳が遠いから可かったものの、....
「道成寺(一幕劇)」より 著者:郡虎彦
をくらませると思うのかい。このおおどかな梵音が山中をゆさぶって、木の根に巣をくう
虫けらまで仏願に喰い入るほども鳴りひびいたに、まだ執念く呪いをかけようというのだ....
「生活と一枚の宗教」より 著者:倉田百三
までもそうであったのでありますが、そういう人間がすこしも考えられなかった動植物、
虫けらというものと、自分の命が同じものであると思う。そうすると非常にそういうもの....
「俳優倫理」より 著者:岸田国士
ある。非常に神々しくもあり、非常に悪魔の如くでもある。また同時に優しい所もあり、
虫けらの如くきたない所もあるのです。そういう複雑な姿をもった人間の夢はなんであり....
「なよたけ」より 著者:加藤道夫
の親を困らせますのでござります。……そうかと思いますると、生物なれば、鳥けものや
虫けらに至るまで無性にこう可愛がる癖がござりましてな、ある時なぞは、蝶々になるま....
「狂人日記」より 著者:秋田滋
また、快楽のためにも殺す必要があるので、狩猟ということを思い付いた。子供たちは、
虫けらを見つけたり、小鳥や、小さな動物を捕えたりすると、それを殺す。しかし、ただ....
「沼畔小話集」より 著者:犬田卯
ないのである。彼は家というものももはや失い、主として山野に寝ね、山野に彷徨して、
虫けらを食って生存しているのだが、時々、里へ出現ましまして座像化したり、立像化し....
「青春の息の痕」より 著者:倉田百三
その生涯を他人に献げたい、「共存者よ」私は言いかけたい。「私を見てくれ、私はかく
虫けらのごとく貧しく醜く造られ、そしてかく拙なき運命を与えられ、しかしてこのとこ....
「審判」より 著者:カフカフランツ
も特に美しい人というのはあります。でもみな美しいことは確かであって、あのみじめな
虫けらのようなブロックでさえ美しいんです」 Kは、弁護士が語り終えたとき、すっ....
「特殊部落の成立沿革を略叙してその解放に及ぶ」より 著者:喜田貞吉
建時代の例を引きますと、武士というものは大そうに威張っておりまして、町人・百姓を
虫けら同様に取扱っておりましたが、その武士はもと何かと申すと、所謂|侍である。侍....