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虫の息
「虫の息〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虫の息の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
》めてしまって馬力から飛び下りた。小屋の中にはまだ二、三人人がいた。妻はと見ると
虫の息に弱った赤坊の側に蹲《うずくま》っておいおい泣いていた。笠井が例の古鞄《ふ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
の若い男が仏前に倒れ苦しんでいることであった。男は口からおびただしい血を吐いて、
虫の息で倒れている。お国はびっくりして声をあげると、近所の人たちも駈け集まって来....
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
った。――その嵐のような歓呼の絶頂に、わが歌姫赤星ジュリアはパッタリ舞台に倒れて
虫の息となってしまった。間髪を入れず、舞台監督の機転で、大きな緞帳がスルスルと下....
「地中魔」より 著者:海野十三
くだろう。外では「岩」が全速力の機関車にひきずられて、眼も口も泥まみれになって、
虫の息だった。地底機関車は、マンマと三吉少年に占領されてしまった! 地底の....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
時はいよいよ遅かった。兄はもう焼けただれて息がなかった。妹は全身に大火傷を負って
虫の息であった。すぐに医師を呼んで応急手当を加えた上で、ともかくも町の病院へかつ....
「玄海灘密航」より 著者:金史良
、犬や豚のように船底に積み重ねられた男女三十余名の密航団は、船員達に踏んづけられ
虫の息である。喰わず飲まず吐瀉や呻きの中で三日を過ぎ、真暗な夜中に荷物のように投....
「奇賊悲願」より 著者:海野十三
た。月光の下に展開する凄惨な光景。 「間違いなく、左脚がちょん切れている。当人は
虫の息だ。なまぐさい血の海。――あと二三十分の寿命だろう。南無阿弥陀仏」 貫一....
「火星兵団」より 著者:海野十三
の千蔵さんは、天狗岩の上で、ひっくりかえっていたんです。あのとおり大怪我をして、
虫の息だったんです。出血多量というやつで、今朝がたに輸血までしたのですが、ここら....
「火薬船」より 著者:海野十三
んなところに……」 とうとうハルクの倒れている隅っこを見つけた。 ハルクは、
虫の息だった。体は、火のようにあつい。竹見は、おどろいて、空き瓶の中に入れて持っ....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
も、まずおかみさんの方に眼を向けなければならなかった。お寅は左の乳の下を刺されて
虫の息で倒れていた。畳の上には一面に紅い泉が流れていた。三人はきゃっと叫んで立ち....
「赤ずきんちゃん」より 著者:楠山正雄
た。 やがて、おばあさんも、まだ生きていて、はいだしてきました。もう、よわって
虫の息になっていました。赤ずきんちゃんは、でも、さっそく、大きなごろた石を、えん....
「ラ・ベルとラ・ベート(美し姫と怪獣)」より 著者:楠山正雄
ら、清水をくんで来て、その顔にふっかけました。すると、怪獣はかすかに目をあいて、
虫の息でいいました。 「お前が約束をわすれたので、わたしは物をたべずに死ぬかくご....
「石塀幽霊」より 著者:大阪圭吉
なかった。黒い大きな塊に見えたのは案にたがわず這うようにして俯向きに崩打れたまま
虫の息になっている被害者の姿だった。見るからに頸の白い中年の婦人だ。鋪道の上には....
「丹那山の怪」より 著者:江見水蔭
屋弥兵衛方に一泊した。ここでまた驚くべき事実を発見した。ここに謎の人が泊り合せて
虫の息でいるのであった。それは七化の小紋三という旅役者であった。 小紋三は丹那....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
助けて助けてに真向、拝み討ち、唐竹割り、逃げる腰から諸手突き、ウーラーウーラーも
虫の息でへたばる背をば乗り上げ、蹴立てて躍進、伝令使だ。 「ほほう、露助滅茶敗け....