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虫唾
「虫唾〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虫唾の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「或る女」より 著者:有島武郎
、それでいて、欲にかかるとずうずうしい、人のすきばかりつけねらう仕打ちを見ると、
虫唾《むしず》が走るほど憎かった。しかしこんな思いをするのもきょうだけだと思って....
「カインの末裔」より 著者:有島武郎
を向いて、
「そうじゃろがの」
それに違いなかった。しかし彼れはその男を見ると
虫唾《むしず》が走った。それも百姓に珍らしい長い顔の男で、禿《は》げ上《あが》っ....
「坑夫」より 著者:夏目漱石
には、ほかの事はどうともするから、ただ安々と楽寝がさせて貰いたい。不断の白い飯も
虫唾《むしず》が走るように食いたいが、それよりか南京虫《ナンキンむし》のいない床....
「山羊髯編輯長」より 著者:夢野久作
も……」 「フウン。心安いのかい後家さんと……」 若い親方の顔が急に苦々しい、
虫唾の走りそうな恰好に歪んだ。同時にその眥がスーッと切れ上って、云い知れぬ殺気を....
「猿飛佐助」より 著者:織田作之助
として、のっぺりした顔をしやがって、頭のてっぺんから夏蜜柑のような声を出す。俺ア
虫唾が走るんだ。第二の理由は、こ奴かねがね楓に横恋慕して、奥方を通じて、内々の申....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
聞かせた人は一人もありません。 「冗談どころではない、わしは敵討という話を聞くと
虫唾《むしず》が走るほどいやだ、誰が流行《はや》らせたか、あんなことを流行らせた....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
り方だそうだが、見ていると、むかっとする、離れていても胸が悪い、口をきかれると、
虫唾が走る、ほほほ、と笑われると、ぐ、ぐ、と我知らず、お時が胸へ嘔上げて、あとで....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
一、あの呼び物がなくなっては、今日からの一座も打てないじゃないか。お絹という女は
虫唾《むしず》の走るほどキザな奴だ、噛んで吐き出してやりたいほどイヤな奴だと、お....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
世どうしたものか、ほとんど先天的の苦手《にがて》で、思い出しただけで、おたがいに
虫唾《むしず》が走るようになっている。その苦手にさえ、ここでは小当りに当ってみた....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
。 物と物との間には、どうしても、身も魂も入れ上げて好きになれるものもあれば、
虫唾《むしず》の走るほど嫌われながら、それでもついて廻らねばならぬ運命もある。 ....
「擬体」より 著者:豊島与志雄
ないからね。」 「私はスパイ根性が大嫌いです。スパイのまたスパイ、そんなものには
虫唾が走るんです。」 「現在の君としては、そうだろうね。」 青木は眉根を寄せた....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
、こうした真剣な話に伴うシンミリした気分とに極めて不調和な下司な女の軽い上調子が
虫唾が走るほど堪らなく不愉快だった。 十二時近くこの白粉の女が来て、「最う臥せ....