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虫売り
「虫売り〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虫売りの前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
のに一町と隔たってはいなかったのに、しかも双方ともにその目ざしたところは、孫太郎
虫売り娘殺害の現場と思われたのが、途中でひょいとふり返ってみると、右門の駕籠も伝....
「綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
は却って涼味を消すものであると、私は前に云った。しかもその騒がしい虫の声を市中の
虫売りの家台のうちに聴く場合には、まったくその趣を異にするのである。夜涼をたずね....
「新版 放浪記」より 著者:林芙美子
なかなか売れそうにもない。オッカサンは下谷までお使い。
市松の紙の屋根を張った
虫売りが前の金物屋の店さきに出た。じょうさい屋が通る。
みがきこんだおかもちを....
「旧聞日本橋」より 著者:長谷川時雨
思うころには、カタカタと音をさせて、定斎屋《じょさいや》がくる、甘酒売りがくる。
虫売りがくる――定斎屋と甘酒やだけが真夏になればなるほど日中炎天をお練りでゆくが....
「アド・バルーン」より 著者:織田作之助
ぐる廻るのは走馬灯で、虫売の屋台の赤い行灯にも鈴虫、松虫、くつわ虫の絵が描かれ、
虫売りの隣の蜜垂らし屋では蜜を掛けた祇園だんごを売っており、蜜垂らし屋の隣に何屋....
「名人地獄」より 著者:国枝史郎
が咏んだように、一夜の嵐に散ってからは、世は次第に夏に入った。苗売り、金魚売り、
虫売りの声々、カタンカタンという定斎屋の音、腹を見せて飛ぶ若い燕の、健康そうな啼....
「随筆 寄席風俗」より 著者:正岡容
の時とはちがって、もうすっかり夏になりつくした明るい景色が、さまざまな植木にも、
虫売りたちにも、また釣荵《つりしのぶ》屋の上にもマザマザと感じられました。ことに....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
下町の小ぢんまりした格子作りで、朝の膳には鎌倉の鰹、夕方には隅田川の白魚、夜には
虫売りや鮨売りもきて、縁日のある町へも近く、月の晩には、二階で寝ながら将軍様のお....
「大岡越前」より 著者:吉川英治
りがないものらしい」 湯島天神の縁日でもあろうか。切通しの森を透いて、紅提灯や
虫売りの灯が、夜空の星と争って、風のふくたび、戦ぎ立って見える。 「お燕。――遠....