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虫眼鏡
「虫眼鏡〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
虫眼鏡の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玩具」より 著者:太宰治
。両親の居間の襖《ふすま》をするするあけて、敷居のうえに佇立《ちょりつ》すると、
虫眼鏡で新聞の政治面を低く音読している父も、そのかたわらで裁縫《さいほう》をして....
「青春の逆説」より 著者:織田作之助
へ出すのだった。じろりと客の顔を見て椅子に腰を掛け、客には坐れとも言わずに質札を
虫眼鏡で仔細に観察してから、質屋の住所と客の住所姓名を訊く。終ると、「金は夕方取....
「オシャベリ姫」より 著者:かぐつちみどり
提げてノッサノッサと出て来ました。 その疣《いぼ》蛙は姫のそばへ来ると、鞄から
虫眼鏡を出して、姫の顔を眼から鼻から口と一つ一つていねいにのぞきましたが、おしま....
「朱日記」より 著者:泉鏡花
して、一ツ二ツずつ続いたんだが、限りが知れん、幾百居るか。 で、何の事はない、
虫眼鏡で赤蟻の行列を山へ投懸けて視めるようだ。それが一ツも鳴かず、静まり返って、....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
したが、それを紙の上に置くと青酸加里の白い粉をパラパラと削り落し、今度は懐中から
虫眼鏡を出してのぞいたようですが、 「尾形さん、ここにある指紋を見て呉れ給え。こ....
「蠅男」より 著者:海野十三
いるようであった。 鑑識子は、命ぜられるままに二枚の紙にうつし出された指紋を、
虫眼鏡の下にジッと較べていたが、やがて彼の額には、ジットリと脂汗が滲みだしてきた....
「私の父」より 著者:堺利彦
錦町のある小間物店で、私は人のそばで遊んでいるようなふりをして、柄のついた小さい
虫眼鏡を一つ盗み取った。それを通して物を見ると、何でも素晴らしく大きく見えたので....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
残っていた。ピストルは、銃口を下にして入っていたそうだ。ところがピストルの銃口を
虫眼鏡でよく調べたが、錆《さび》はまだ全然発生していない。だからこのピストルが花....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
分の長さを持っていなかったのに、蟷螂としての条件はことごとく備えているのだ。私は
虫眼鏡を取り出して覗いてみた。すると彼は頸を傾けて私を睨んだりする。しかしまだ羽....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
思い及ぶと同時に、名は知るまいといって誇ったのを、にわかに恥じて、差翳した高慢な
虫眼鏡を引込めながら、行儀悪くほとんど匍匐になって、頬杖を突いている滝太郎の顔を....
「ガリバー旅行記」より 著者:スウィフトジョナサン
の女が美しく見えるのは、それは私たちと身体の大きさが同じだからなのでしょう。もし
虫眼鏡でのぞいて見れば、どんな美しい顔にも凸凹やしみが見えるにちがいありません。....
「浅草紙」より 著者:寺田寅彦
や紫や美しい色彩を帯びた斑点である。大きいのでせいぜい二、三|分四方、小さいのは
虫眼鏡ででも見なければならないような色紙の片が漉き込まれているのである。それがた....
「雑記(Ⅰ)」より 著者:寺田寅彦
局で蒐集して、何かの機会に車掌達の参考に見せるのもいいかもしれないと思う。何なら
虫眼鏡で一遍ずつ覗かせるのもいいかもしれない。ついでにもう一歩を進めるならば、電....
「学位について」より 著者:寺田寅彦
さえも官費で弁護士がつけられる世の中に、効はあっても罪のない論文提出者は八方から
虫眼鏡で瑕を捜され叱責されることになるのである。たとえ明白な誤謬は一つもない論文....
「棲霞軒雑記」より 著者:上村松園
たような顔をした。すると米粒の男は、 「ただの目では、もちろん判りませんが、この
虫眼鏡で覗くとわかるのです」 そう言って、ふところから、大きな
虫眼鏡をとり出し....