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蚊屋
「蚊屋〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蚊屋の前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「百物語」より 著者:森鴎外
るうちに、飾磨屋さんがいなくなったので聞いて見ると、太郎を連れて二階へ上がって、
蚊屋《かや》を吊《つ》らせて寐たと云うじゃありませんか。失礼な事をしても構わない....
「ヰタ・セクスアリス」より 著者:森鴎外
った事はないかと思うと、ふいと今朝の事を思い出す。今朝散歩に出た。出るときお蝶は
蚊屋《かや》を畳み掛けていた。三十分も歩いたと思って帰って見ると、お蝶は畳んだ蚊....
「新生」より 著者:島崎藤村
二十一
その晩、岸本はまだ旅から帰りたての客のような形で、兄の義雄と同じ
蚊屋《かや》の内に寝た。高輪《たかなわ》にあるこの新開の町ではもう一月も前から蚊....
「家」より 著者:島崎藤村
か。それも覚束なかった。三吉はある町に住む弁護士の智慧を借りようかとまで迷った。
蚊屋の内へ入って考えた。夏の夜は短かかった。 三吉は家を出た。彼の足は往時自分....
「家」より 著者:島崎藤村
ん」 叔母のような家庭的な人の口から、意外な答を聞いたという面持で、豊世は母衣
蚊屋の内にスヤスヤ眠っている乳呑児の方を眺めた。そこへ二番目の新吉を背負った下婢....
「古事記物語」より 著者:鈴木三重吉
が片づくとまもなく、ある日、大長谷皇子のところへ、近江の韓袋という者が、そちらの
蚊屋野というところに、ししやしかがひじょうにたくさんおりますと申し出ました。 「....
「やもり物語」より 著者:寺田寅彦
った。ある夜荒物屋の裏を通ったら、雨戸を明け放して明るい座敷が見える。高く釣った
蚊屋の中にしょんぼり坐っているのは年とった主婦で、乱れた髪に鉢巻をして重い病苦に....
「雁」より 著者:森鴎外
だと思うと、大違いだぞ。おや。もう蚊が出やがった。下谷はこれだから厭だ。そろそろ
蚊屋を吊らなくちゃあ、かかあは好いが、子供が食われるだろう」こんな事を思っては、....
「放浪記(初出)」より 著者:林芙美子
窓の下を人夫達が土佐節を唄いながら通って行く。 ランマンと吹く風に、波のように
蚊屋が吹きあげて、まことに楽しみな朝の寝ざめ、郷愁をおびた土佐節を聞いていると、....
「植物一日一題」より 著者:牧野富太郎
朝鮮のワングルとカンエンガヤツリ カヤツリグサ科の中にカンエンガヤツリ(灌園
蚊屋釣の意)という緑色一年生の大きなカヤツリグサ一種があって Cyperus I....
「知々夫紀行」より 著者:幸田露伴
と窃かに語り合いつつ、好きほどに酒杯を返し納めて眠りに就くに、今宵は蚊もなければ
蚊屋も吊らで、しかも涼しきに過ぐれば夜被引被ぎて臥す。室は紙障子引きたてしのみに....
「奥羽地方のシシ踊りと鹿供養」より 著者:喜田貞吉
れ、記紀の記するところ、日本武尊の焼津の野火の難における、市辺押磐皇子の来田綿の
蚊屋野における、或いは允恭天皇の淡路の御狩における、いずれも鹿のことに多かった事....