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蚕
「蚕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蚕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「玄鶴山房」より 著者:芥川竜之介
彼の両親の住んでいた信州の或山峡の村を、――殊に石を置いた板葺《いたぶ》き屋根や
蚕臭《かいこくさ》い桑ボヤを思い出した。が、その記憶もつづかなかった。彼は時々唸....
「不思議な島」より 著者:芥川竜之介
老人「ところが大学の教授などはサッサンラップ島の野菜になると、豌豆《えんどう》と
蚕豆《そらまめ》も見わけられないのです。もっとも一世紀より前の野菜だけは講義の中....
「百合」より 著者:芥川竜之介
二本芽でも赤芽でも好《い》いじゃないか。」
母はだだ広《びろ》い次の間《ま》に
蚕《かいこ》の桑《くわ》を刻《きざ》み刻み、二三度良平へ声をかけた。しかし彼はそ....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
たが、剃りづけませぬよう、と父様の命令で、近頃太くしているので、毛虫ではない、臥
蚕である。しかるにこの不生産的の美人は、
蚕の世を利するを知らずして、毛虫の厭うべ....
「最終戦争論」より 著者:石原莞爾
会戦をなるべくやらないで機動によって敵の背後に迫り、犠牲を少なくしつつ敵の領土を
蚕食する。この二つの手段が主として採用されるのであります。 フリードリヒ大王は....
「眉かくしの霊」より 著者:泉鏡花
、脇本陣とでも言いそうな旧家が、いつか世が成金とか言った時代の景気につれて、桑も
蚕も当たったであろう、このあたりも火の燃えるような勢いに乗じて、贄川はその昔は、....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
に手もやせ細ってる姉は、無い力を出して、ざくりざくり桑を大切りに切ってる。薄暗い
蚕棚の側で、なつかしい人なだけあわれはわけても深い。表半分雨戸をしめ家の中は乱雑....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
のように黄昏の軒をうろつく、嘉吉|奴を引捉え、確と親元へ預け置いたは、屋根から天
蚕糸に鉤をかけて、行燈を釣らせぬ分別。 かねて謀計を喋合せた、同じく晩方|遁げ....
「開扉一妖帖」より 著者:泉鏡花
ゃあ、恋も呪もしますからね。」 で、口を手つだわせて、手さきで扱いて、懐紙を、
蚕を引出すように数を殖すと、九つのあたまが揃って、黒い扉の鍵穴へ、手足がもじゃ、....
「瘠我慢の説」より 著者:石河幹明
を妨ぐるのみにして、米の収穫如何は貿易上に関係なしといえども、東北地方は我国の養
蚕地にして、もしもその地方が戦争のために荒らされて生糸の輸出断絶する時は、横浜の....
「夫人利生記」より 著者:泉鏡花
ちに思っても可思議なのだが、……くれたものというと払子に似ている、木の柄が、草石
蚕のように巻きぼりして、蝦色に塗ってあるさきの処に、一尺ばかり革の紐がばらりと一....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
ん。飛々に石を置いた向うは、四ツ目に組んだ竹垣で、垣に青薄が生添って、葉の間から
蚕豆の花が客を珍らしそうに覗く。……ずッと一面の耕地水田で、その遠くにも、近くに....
「広告」より 著者:伊丹万作
詩というものはひたすら写実の奥底にもぐり込んで、その奥の奥をきわめた時、あたかも
蚕が蛾になるように、無意識のうちに写実のまゆを突き破つて象徴の世界に飛び出すもの....
「県歌 信濃の国」より 著者:浅井洌
民のかせぎも豊かにて 五穀の実らぬ里やある しかのみならず桑とりて
蚕飼いの業の打ちひらけ 細きよすがも軽からぬ 国の命を繋ぐなり 四 尋ね....
「大利根の大物釣」より 著者:石井研堂
強のものたるは言うまでもなし。 さて、小出し桶に受取りし餌を摘み取り、糸女、沙
蚕三十筋ばかりと、袋餌数筋を刺す。其の状、恰も緋色の房の如く、之を水に投ずれば、....