蚕食[語句情報] » 蚕食

「蚕食〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蚕食の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
虚構の春」より 著者:太宰治
彼を絶えず照した怠惰の青い太陽は、天が彼に賦与《ふよ》した才能の半ばを蒸発させ、蚕食《さんしょく》した。巴里《パリ》、若《も》しくは日本高円寺の恐るべき生活の中....
最終戦争論」より 著者:石原莞爾
会戦をなるべくやらないで機動によって敵の背後に迫り、犠牲を少なくしつつ敵の領土を蚕食する。この二つの手段が主として採用されるのであります。 フリードリヒ大王は....
母子叙情」より 著者:岡本かの子
モンパルナスから歩いて十五分ほどの、閑静なところに在った。 そこは旧い貧民街を蚕食して、モダンな住宅が処々に建ちかかっているという土地柄だった。 かの女はむ....
応仁の乱」より 著者:菊池寛
て居る浄花院に殺到して行った。 西軍の勢力は、日々に加わり、東軍は多くの陣地を蚕食されて、残すは只相国寺と、勝元邸だけとなった。兵火に焼かれた京都は、多く焼野....
工場細胞」より 著者:小林多喜二
ならなかった。 今年は更にロシアが組織的に、色々な手段を借りて、わが優良漁区の蚕食をやるという確実な噂さが立っていた。「日露」と「H・S」の株価は傾きかけた水....
夜明け前」より 著者:島崎藤村
候儀に御座候。イギリス、フランス一致いたし、ロシアと戦争に及び候は、ロシアの所々蚕食いたし候を憎みての儀に御座候。ロシアはサガレンを領し、かの筋より満州およびシ....
写生紀行」より 著者:寺田寅彦
。こうしてわが大東京はだらしなく無設計に横に広がって、美しい武蔵野をどこまでもと蚕食して行くのである。こんなにしなくても市中の地の底へ何層楼のアパートメントでも....
蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
徳川氏からの使の旨で秀吉の意を猜《すい》すれば、秀吉は政宗が勝手な戦をして四方を蚕食しつつ其大を成すを悦《よろこ》ばざること分明であることが、政宗の※中《きょう....
イデオロギー概論」より 著者:戸坂潤
ものとしか考えられなかったものが、今日ではアカデミーの独壇場であった理論の世界を蚕食して、論壇が発育し始まっているという事実である。 近代ジャーナリズムは近代....
現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
を有っている。 西南学派の方法論的哲学方向は、哲学自身の独立性をば、自然科学の蚕食的な進出から防御しようとする努力から動機づけられたと云わねばならないが、自然....
現代日本の思想対立」より 著者:戸坂潤
農相は、後藤前農相以来の産組第一主義をすてて、産業組合は中小商業の配給機能をまで蚕食すべきでなく、商業組合乃至同業組合と折り合うべきだ、と声明するに至った。これ....
世界怪談名作集」より 著者:岡本綺堂
情な、平凡な顔になった。実際をいうと、私はある永久の変化――私の生命をだんだんに蚕食していくところの発作から来る肉体的変化を予期していたが、全然そんな変化は見え....
私の小売商道」より 著者:相馬愛蔵
す。それは多くの支店の中には、必ず赤字のものが出来る、そして好成績の支店の利益を蚕食するか、あるいは本店を傷める結果となって、全体としては結局大したこともないと....
荒蕪地」より 著者:犬田卯
飛び飛びに耕作していたが、そこには五畝歩ほどの不毛地――恐らく年々の洪水のために蚕食されて川床になっている部分でも勘定に入れない限り、誰が見てもそんなにあるとは....
日本上古の硬外交」より 著者:国枝史郎
全責任を御自ら御|執りあそばされた、その御勇猛心と御仁慈であり、もう一つは、領土蚕食とか物資獲得とかの侵略的意図の新羅討伐ではなく、大日本国の一部であり大和朝廷....