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蚣
「蚣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蚣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い：新字新仮名]
「南島譚」より 著者:中島敦
、ありとあらゆる労働が彼に課せられる。こう仕事が多くては、無数に手の生えている蜈
蚣《むかで》でも遣《や》り切れまいと思われる程だ。其等《それら》の用をいいつける....
「人外魔境」より 著者:小栗虫太郎
るのだった。しかも、下はどろどろの沢地、脛までもぐるなかには角毒蛇がいる。 蜈
蚣の、腕ほどもあるのがバサリと落ちて来たり、絶えず傘にあたる雨のような音をたてて....
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
衆、御茶堂衆に至るまで、その数およそ五百人、座を圧して居流れていた。尚三十人の蜈
蚣衆――すなわち忍術の名人達が、隣り部屋に詰めていた。 わざわざ領国から夜を日....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
た。川を隔てゝ薄桃色に禿げた※冠山を眺め、湖水の括れて川となるあたりに三上山の蜈
蚣が這い渡る様な瀬田の橋を眺め、月の時を思うて良久しく立去りかねた。
秋の日は....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
された。予が明治四十一年六月の『早稲田文学』六二頁に書いた通り、『酉陽雑俎』（蜈
蚣《むかで》退治を承平元年と見てそれより六十八年前に死んだ唐の段成式著わす）三に....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
れに応えるように、がさがさいう音がきこえた。そこで、筒をひらくと、一尺ばかりの蜈
蚣が這い出して、旅人のからだを三度廻って、また直ぐに几の上に復って、暫くして筒の....
「中国怪奇小説集」より 著者:岡本綺堂
人は直ちに死ぬと伝えられている。 そこで、ここらの地方の宿屋では小箱のうちに蜈
蚣をたくわえて置いて、泊まり客に注意するのである。 「夜なかにあなたの名を呼ぶ者....
「海神別荘」より 著者:泉鏡花
っかりで、御威徳を恐れて引きました。 侍女二 長う太く、数百の鮫のかさなって、蜈
蚣のように見えたのが、ああ、ちりぢりに、ちりぢりに。 侍女三 めだかのように遁げ....
「売色鴨南蛮」より 著者:泉鏡花
ト斜に、がッくりと窪んで暗い、崕と石垣の間の、遠く明神の裏の石段に続くのが、大蜈
蚣のように胸前に畝って、突当りに牙を噛合うごとき、小さな黒塀の忍び返の下に、溝か....
「みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
ってるぞ。」 絨毯を縫いながら、治兵衛の手の大小刀が、しかし赤黒い電燈に、錆蜈
蚣のように蠢くのを、事ともしないで、 「何が、犬にも牙がありゃ、牛にも角があるだ....
「鳴雪自叙伝」より 著者:内藤鳴雪
いる処を思い出した。 大津に入るあたりで三上山を見た。彼の田原藤太が射た大｜蜈
蚣《むかで》の住みかだと思うと、黒く茂《しげっ》た山の様を物凄く感じた。 さて....
「風波」より 著者:井上紅梅
帰って来た。そういうわけでなかなか世事に通じていた。たとえばどこそこでは雷公が蜈
蚣のお化けを劈き殺した。どこそこでは箱入娘が夜叉のような子を産んだ。というような....
「五右衛門と新左」より 著者:国枝史郎
とである。 戦国時代に至っては、尤も軍陣に用いられた。特に信玄が重用した、「蜈
蚣衆」と称された物見武士は、大方優秀なる忍術家であった。 信長は夫れほど重用せ....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
んて可哀相じゃアありませんか。 いいえね、竜宮の乙姫てえ素ばらしいのだって、蜈
蚣にゃあ敵いませんや、瀬多の橋へあらわれりゃ、尋常の女でしょう、山の主が梅干にな....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
の反射は近い水面を、空気を、砂地をことに眩ゆく新にした。そうして岸には長い櫂を蜈
蚣見たいにそろえた細長の独木舟が幾隻か波に揺られて、早くも飛び込むと持場持場を固....