蛇の目傘[語句情報] » 蛇の目傘

「蛇の目傘〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蛇の目傘の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
火の鳥」より 著者:太宰治
か遠く、楢《なら》の幹の陰に身をかくし、真赤な、ひきずるように長いコオトを着て、蛇の目傘を一本胸にしっかり抱きしめながら、この光景をこわごわ見ている女は、さちよ....
世相」より 著者:織田作之助
襟首を白く塗り、ボロ三味線の胴を風呂敷で包んで、雨の日など殆んど骨ばかしになった蛇の目傘をそれでも恰好だけ小意気にさし、高下駄を履いて来るだけの身だしなみをする....
田舎教師」より 著者:田山花袋
た麦の緑と菜の花の黄いろとはいつもよりはきわだって美しく野をいろどった。村の道を蛇の目傘が一つ通って行った。 清三は八時過ぎに、番傘を借りて雨をついて出た。そ....
浮世絵の曲線」より 著者:寺田寅彦
黒斑に対応するためにいろいろの黒いものが配合されている。たとえば塗下駄や、帯や、蛇の目傘や、刀の鞘や、茶托や塗り盆などの漆黒な斑点が、適当な位置に適当な輪郭をも....
宇宙戦隊」より 著者:海野十三
い空は円形をなしていた。その円の広さがだんだんに狭くなっていくのだ。晴天に大きな蛇の目傘をひろげたようであったのが、ずんずん小さくなって、黒い丸い窓のように見え....
細木香以」より 著者:森鴎外
搴げて出る。その拵は唐桟の羽織を著、脇差を差し駒下駄を穿いている。背後には東栄が蛇の目傘を持って附いている。合方は一中節を奏する。文左衛門は助六を呼んで戒飭する....
短歌習作」より 著者:宮本百合子
ふうす青き日よ 泣きつかれうるむ乙女の瞳《め》の如し はかなく光る樫の落葉よ蛇の目傘塗りし足駄の様もよし たゞ助六と云ふさへよければ 助六の紅の襦袢はな....
光り合ういのち」より 著者:倉田百三
て。しかし五、六日目に本当に彼女は来た。しかも今度は一人で、雨あがりの若葉の路を蛇の目傘を持って。私は不思議な気がした。 私たちは会釈して互いに近づき、申し合....
大岡越前」より 著者:吉川英治
死んでしまう」 市十郎は、おもいがけない女の声に、顔を上げた。 自分の上に、蛇の目傘が、ひらいている。 世間は静かな雪の夜になっていた。傘の下をのぞいては....