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蜆汁
「蜆汁〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蜆汁の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「業平文治漂流奇談」より 著者:三遊亭円朝
屋《むさしや》と云う家《うち》がありました、其の家は麦斗《ばくと》と云って麦飯に
蜆汁《しゞみじる》で一|猪口《ちょく》出来ます。其の頃|馴染《なじみ》でございま....
「仮装人物」より 著者:徳田秋声
めて、憎悪の言葉さえ投げつけたあとでは、気分の融けあうはずもなかった。 名物の
蜆汁だの看板の芋の煮ころがしに、刺身鳥わさなどで、酒も二猪口三猪口口にしたが、佞....
「水仙」より 著者:太宰治
った。さらに一つ。僕は、もうそれ以上お酒を飲む気もせず、ごはんを食べる事にした。
蜆汁がおいしかった。せっせと貝の肉を箸でほじくり出して食べていたら、 「あら、」....
「残されたる江戸」より 著者:柴田流星
定斎と小使銭 青簾 夏祭り 心太と白玉 川開き 草市と盂蘭盆 灯籠流し 蒲焼と
蜆汁 丑べに 朝顔と蓮 滝あみ 虫と河鹿 走り鮎 縁日と露店 新内と声色 十五夜....
「小春の狐」より 著者:泉鏡花
一 朝――この湖の名ぶつと聞く、蜆の汁で。……燗をさせるのも面倒だから、バスケットの中へ持参のウイスキイを一口。
蜆汁にウイスキイでは、ちと取合せが妙だが、それも旅らしい。…… いい天気で、暖....
「清修館挿話」より 著者:林芙美子
食物について不平をならべるような事はありませんでした。ですが、越して来た翌朝の、
蜆汁の中に長い長い女の髪の毛がはいつているのには神経の太い谷村さんも、一寸うんざ....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
その晩、地方から出京した親戚のむすめを連れて向島のある料理店兼旅館へ行って、芋と
蜆汁を食っていたのだというのである。親戚の娘を妙なところへ連れ込んだものだと思う....
「顎十郎捕物帳」より 著者:久生十蘭
では、摺鉢の蜆《しじみ》ッ貝をゆする音がざくざく。 「……どうやら、今日の昼食も
蜆汁になりそうだの。……いくら蜆が春の季題でも、こう、たてつづけではふせぎがつか....
「おせん」より 著者:邦枝完二
守に誰かが這入ったと聞いては、流石にあわてずにいられなかったらしく、拵らえかけの
蜆汁を、七|厘へ懸けッ放しにしたまま、片眼でいきなり窺き込んだのであろう。 部....
「白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
な頃、入谷が近いから招待されて、先生も供で、野郎連中六人ばかり、大野木の二階で、
蜆汁、冷豆府どころで朝振舞がありました。新夫人……はまだ島田で、実家の父が酒飲み....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
十夜も一風呂ザッと浴びてこないか」 「おれは後で行くよ、寝しなに」 膳がくる。
蜆汁の椀、鯉のあらい、木の芽田楽、それに酒。 信州路へ入って、鯉の料理にお目に....