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蜉蝣
「蜉蝣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蜉蝣の前後の文節・文章を表示しています。該当する13件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「恐怖の口笛」より 著者:海野十三
警戒の網が敷かれたことも、舞台の上から見てとった。しかも舞台では、赤星ジュリアが
蜉蝣の生命よりももっと果敢ない時間に対し必死の希望を賭け、救おうにも救いきれない....
「運命」より 著者:幸田露伴
して功成りたまわば、後世の公論、大王を如何の人と謂い申すべきや。巍は白髪の書生、
蜉蝣の微命、もとより死を畏れず。洪武十七年、太祖高皇帝の御恩を蒙りて、臣が孝行を....
「みみずのたはこと」より 著者:徳冨健次郎
生最高の理想を追い、之れが為めに戦い、戦い半ばならずして斃れし英雄の生涯也。遂に
蜉蝣の如き人生は、生きて甲斐なけん。昔者プラトー、ソクラテスの口をして曰わしめて....
「一つの出来事」より 著者:宮本百合子
丸まっちい四肢を機械のように振りまわして、窓下の芝生《ローン》で湖から飛んで来る
蜉蝣《かげろう》を追っかけている小娘に会うこともある。 けれども私達の交際は、....
「春六題」より 著者:寺田寅彦
変えて見せられただけの事である。時の長短という事はもちろん相対的な意味しかない。
蜉蝣の生涯も永劫であり国民の歴史も刹那の現象であるとすれば、どうして私はこの活動....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
葉ノ扁舟《へんしゆう》ニ駕シ、匏樽《ほうそん》ヲ挙ゲテ以テ相属《あひしよく》ス、
蜉蝣《ふゆう》ヲ天地ニ寄ス、眇《びよう》タル滄海《そうかい》ノ一粟《いちぞく》、....
「フランドン農学校の豚」より 著者:宮沢賢治
も、鶏《にわとり》でも、なまずでも、バクテリヤでも、みんな死ななけぁいかんのだ。
蜉蝣《かげろう》のごときはあしたに生れ、夕《ゆうべ》に死する、ただ一日の命なのだ....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
という曲者。 吐く息あたかも虹のごとしで、かッと鼬に吹掛ける。これとても、蚊や
蜉蝣を吸うような事ではござらん、式のごとき大物をせしめるで、垂々と汗を流す。濡色....
「源氏物語」より 著者:紫式部
ざいます」 と進言する従者もあったが、 「そんなことはいやだ。こちらも氷魚とか
蜉蝣とかに変わらないはかない人間だからね」 としりぞけて、多数の人はつれずに身....
「腐った蜉蝣」より 著者:蘭郁二郎
も、それが守って行けない女なのです。彼女は本当に都会の泡沫の中から現われた美しい
蜉蝣ですよ、ネネは、その僅かな青春のうちに、最も多くの人から注目されたい、という....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
や土筆や薺の花を、細かい宝石のように輝かせ、その木洩れ陽の通い路の空間に、蟆子や
蜉蝣や蜂が飛んでいたが、それらの昆虫の翅や脚などをも輝かせて、いかにも楽しく躍動....
「釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
時、夏に入って夏も老い、九月も今日で十三日という声を聞いては、永いようで短いのが
蜉蝣《かげろう》の命と暑さ盛り、戸一重まで秋は湿やかに這い寄っているが、半歳にも....
「活人形」より 著者:泉鏡花
るに極ったりと、屠所の羊のとぼとぼと、廊下伝いに歩は一歩、死地に近寄る哀れさよ。
蜉蝣の命、朝の露、そも果敢しといわば言え、身に比べなば何かあらむ。 閻王の使者....