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蜍
「蜍〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蜍の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人間失格」より 著者:太宰治
な悲哀《かなしみ》もやって来《こ》ないのだ。 ゆくてを塞《ふさ》ぐ邪魔な石を 蟾
蜍《ひきがえる》は廻って通る。 上田敏訳のギイ・シャルル・クロオとかいうひと....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
に見せて誇る性がある、お手の物たる鼠ばかりでなく猫は蝙蝠《こうもり》、梟は蛇や蟾
蜍《ひきがえる》など持ち来り予の前へさらけ出し誠に迷惑な事度々だった。故セントジ....
「ネギ一束」より 著者:田山花袋
もどうすることもできず、憐みの眼と情けの手に、乞食にひとしい月日を送った。 蟾
蜍のような大きい腹を抱えて、顔は青く心は暗く、初産の恐怖は絶えず胸を痛めて、何が....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
眼を血の湖に比べ、欧州の諸談皆竜眼の恐ろしきを言い、殊に毒竜バシリスクは、蛇や蟾
蜍《ひきがえる》が、鶏卵を伏せ孵《かえ》して生ずる所で、眼に大毒あり能く他の生物....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
これら皆|空《うそ》で実は尊者の名パトリックをノールス人がパド・レクルと間違え蟾
蜍《ひき》を(パダ)逐《お》い去る(レカ)と解した。蟾
蜍を欧人は大変な毒物とする....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
かかる事はむやみに自我に執して他を排すべきにあらず。たとえば欧州やインドの人は蟾
蜍(ヒキガエル)を醜かつ大毒なる物として酷《ひど》く嫌う。しかるに吾輩を始め日本....
「十二支考」より 著者:南方熊楠
いう。由ってかくしてこれを平らげたと見ゆ。バシリスク一名コッカトリセは、蛇また蟾
蜍《ひき》が雄鶏が産んだ卵を伏せ孵《かえ》して生じ、蛇形で翼と脚あり、鶏冠を戴《....
「見えざる敵」より 著者:海野十三
が横合からとんできて、博士の身体をつきとばした。 博士はドンと尻餅をついて、蟾
蜍のように膨れた。 「ど、どっこい、そうはゆかないよ。見かけに似合わず、太い先生....
「鵞鳥」より 著者:幸田露伴
ど火の芸術は厄介だ。しかしここに道はある。どうです、鵞鳥だからむずかしいので。蟾
蜍と改題してはどんなものでしょう。昔から蟾
蜍の鋳物は古い水滴などにもある。醜いも....
「環礁」より 著者:中島敦
に永くいると、美の規準について、多分に懐疑的になるそうだ。ヴォルテエル曰く、「蟾
蜍《ひきがえる》に向って、美とは何ぞやと尋ねて見よ。蟾
蜍は答えるに違いない。美と....
「日和下駄」より 著者:永井荷風
やはり急な崖になっていて、物凄いばかりの竹藪《たけやぶ》であった。この竹藪には蟾
蜍《ひきがえる》のいた事これまた気味悪いほどで、夏の夕《ゆうべ》まだ夜にならない....
「くぐつ名義考」より 著者:喜田貞吉
はタニククを、時に或いは「谷蟆」または「谷潜」などと書いたが為に、一般にこれは蟾
蜍の事であると解している。自分もさきに少彦名命の研究を書いた時には、その解釈の下....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
洞穴や岩の隙間にもぐっているのです。
なぜ陰気な苔や雫の垂る石に附いた餌を
蟾
蜍のように啜っているのです。
結構な、甘ったるい暇の潰しようだ。
あなたの体から....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
崩れがして凄じくのり出した崕の下をソッと通り抜けて明るみに出る、這いつくばった蟾
蜍のような岩が二つ三つ重り合って、狭い谷の口を遮っている。其根方に荷を卸して長次....