蜘蛛の巣[語句情報] » 蜘蛛の巣

「蜘蛛の巣〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蜘蛛の巣の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
婦系図」より 著者:泉鏡花
裏町の中程に懸ると、両側の家は、どれも火が消えたように寂寞して、空屋かと思えば、蜘蛛の巣を引くような糸車の音が何家ともなく戸外へ漏れる。路傍に石の古井筒があるが....
春昼」より 著者:泉鏡花
、勿体ないほど大破いたして、密と参っても床なぞずぶずぶと踏抜きますわ。屋根も柱も蜘蛛の巣のように狼藉として、これはまた境内へ足の入場もなく、崕へかけて倒れてな、....
七宝の柱」より 著者:泉鏡花
んで、辞して、天界一叢の雲を下りた。 階を下りざまに、見返ると、外囲の天井裏に蜘蛛の巣がかかって、風に軽く吹かれながら、きらきらと輝くのを、不思議なる塵よ、と....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
、宰八|唐突に、 「はッくしょ!」 胴震いで、立縮み、 「風がねえで、えら太い蜘蛛の巣だ。仁右衛門、お前、はあ、先へ立って、よく何ともねえ。」 「巣、巣どころ....
茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
町内の杢若どのは、古筵の両端へ、笹の葉ぐるみ青竹を立てて、縄を渡したのに、幾つも蜘蛛の巣を引搦ませて、商売をはじめた。まじまじと控えた、が、そうした鼻の頭の赤い....
灯明之巻」より 著者:泉鏡花
を見つけて、うつくしい女の、その腰は、袖は、あらわな白い肩は、壁外に逆になって、蜘蛛の巣がらみに、蒼白くくくられてでもいそうに思った。 瞬間の幻視である。手提....
薄紅梅」より 著者:泉鏡花
印を結んだとかいいますように、中指を一本押立てていらっしゃるんです。……はじめは蜘蛛の巣かと思ったよ、とそうおいいなさるものですから、狂犬でなくて、お仕合せ、蜘....
照葉狂言」より 著者:泉鏡花
姿なり。石の鳥居なり。百日紅なり。砂のなかなる金色の細※なり。軒に見馴れしと思う蜘蛛の巣のおかしかりし状さえ懐しけれど、最も慕わしく、懐しき心に堪えざりしは、雪....
沼夫人」より 著者:泉鏡花
」 と立って、ふらふらと、浅黄に白地で蚊帳を潜ると、裙と裙とにばっと挟まる、と蜘蛛の巣に掛ったように見えたが、一つ煽って、すッと痩せたようになって、此方の蚊帳....
星女郎」より 著者:泉鏡花
と積んだは、今から冬の用意をした、雪の山家と頷かれて、見るからに佗しい戸の、その蜘蛛の巣は、山姥の髪のみだれなり。 一軒二軒……三軒目の、同じような茗荷の垣の....
白花の朝顔」より 著者:泉鏡花
柑でも。」 片寄せた長火鉢の横で、蜜柑の皮。筋を除る、懐紙の薄いのが、しかし、蜘蛛の巣のように見えた。 「――そうですか、いずれ明日。――お供を……」 「いや....
河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
身の丈夫で売盛るものにはない、弱い女が流される。(姉めも、病身じゃによって、)と蜘蛛の巣だらけの煤け行燈にしょんぼりして、突伏して居睡る小児の蚊を追いながら、打....
式部小路」より 著者:泉鏡花
は見えんで、各自はその黒髪の毛筋の数ほど、この天地の間に、天女が操る、不可思議な蜘蛛の巣ぐらいはありましょう、恋の糸に、心の情が触れる時、音に出づるかと思うよう....
ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
たが。蛇です、蛇です、蛇です、三|疋。一尺ぐらいずつ、おなじほどの距離をおいて、蜘蛛の巣と、どくだみの、石垣の穴と穴から、にょろりと鎌首を揃えたのが、姉さんの白....
活人形」より 著者:泉鏡花
謝するがごとく秋波斜めに泰助を見返り見返り、蹌踉として出行きぬ。 面にべったり蜘蛛の巣を撫払いて、縁の下より這出づるは、九太夫にはちと男が好過ぎる赤城の下男八....