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蜘蛛手
「蜘蛛手〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蜘蛛手の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「葱」より 著者:芥川竜之介
、目まぐるしい仁丹《じんたん》の広告電燈、クリスマスを祝う杉の葉の飾《かざり》、
蜘蛛手《くもで》に張った万国国旗、飾窓《かざりまど》の中のサンタ・クロス、露店に....
「右門捕物帖」より 著者:佐々木味津三
主の講元があるといったような、士、工、商、雑居の吹き寄せ町で、そのごちゃごちゃと
蜘蛛手《くもで》に張られた横路地を、あちらへこちらへしきりに何か捜しまわっていた....
「街頭から見た新東京の裏面」より 著者:杉山萠円
て、九月初めから十月|半《なかば》までの東京市中を、縦横むじんにあるきまわった。
蜘蛛手《くもで》掻く縄十文字に見てまわった。用事の隙々《ひまひま》や電車待つ間《....
「母子叙情」より 著者:岡本かの子
五六歩あゆみ寄った。 門扉は、閂がかけてある。そして、その閂の上までも一面に、
蜘蛛手形に蔦の枝が匍っている。扉は全面に陰っているので、今までは判らなかったが、....
「八ヶ嶽の魔神」より 著者:国枝史郎
。 つづいて葉之助も踊り込んだ。 こうして格闘は中庭から、家の中へ移された。
蜘蛛手に造られてある廊下の諸所で、人獣争闘が行われた。 猛獣は部屋の中へ混み入....
「栃の実」より 著者:泉鏡花
見上ぐる山の巌膚から、清水は雨に滴って、底知れぬ谷暗く、風は梢に渡りつつ、水は
蜘蛛手に岨を走って、駕籠は縦になって、雲を仰ぐ。 前棒の親仁が、「この一山の、....
「陽炎座」より 著者:泉鏡花
となる。 絶えず続いて、音色は替っても、囃子は留まらず、行交う船脚は水に流れ、
蜘蛛手に、角ぐむ蘆の根を潜って、消えるかとすれば、ふわふわと浮く。浮けば蝶の羽の....
「悪獣篇」より 著者:泉鏡花
即ち船を漕ぎ出したのも有るほどで。 死んだは、活きたは、本宅の主人へ電報を、と
蜘蛛手に座敷へ散り乱れるのを、騒ぐまい、騒ぐまい。毛色のかわった犬|一疋、匂の高....
「沼夫人」より 著者:泉鏡花
面の浜田がどことなく、ゆさゆさ動いて、稲穂の分れ伏した処は幾ヶ所ともなしに細流が
蜘蛛手に走る。二三枚空が映って、田の白いのは被ったらしい。松があって雑樹が一叢、....
「生死卍巴」より 著者:国枝史郎
路は二つの露路を産み、二つの露路は四つの露路を産み、この一画は細い露路によって、
蜘蛛手のように織られていたが、それの一つへ投げ込まれたが最後、死人であろうと、怪....
「赤格子九郎右衛門の娘」より 著者:国枝史郎
であった。 これも同じく噂ではあったが、この盗賊の一群は、大阪市中を流れている
蜘蛛手のような堀割を利用し、帆船|端艇を繰り廻し、思う所へ横付けにし、電光石火に....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
る袁爺の像を発見る前に、私は奇怪な地下の館の、あらゆる場所を見歩いたのであった。
蜘蛛手に延びている無数の廊下! 廊下の左右には室の扉がズラリと一列に並んでいた。....
「真間の手古奈」より 著者:国枝史郎
八橋の、くもでに思うことにたえせじ」 「成程」 と左衛門はまたいいました。 「
蜘蛛手に思う恋の心が、突きつめて一つになった時に、恐ろしい一筋の恋となります。ご....
「秋の鬼怒沼 」より 著者:木暮理太郎
、六丈の瀑が脚下にたぎり落ちている。夫を過ぎると水は再び深山榛などの生えた河原を
蜘蛛手に流れて行く。竹で編んだ円い物が塵と一緒に其処らに引かかっている。何かと拾....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
姿を顕した。狭い河原までが其方に開けて、幾筋かに分れた細い水が赤錆びた小砂の間を
蜘蛛手に流れる、こんもり繁った闊葉樹が五、六本、河原を斜に翠蓋を拡げて、其間から....