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蝉の羽
「蝉の羽〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蝉の羽の前後の文節・文章を表示しています。該当する7件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「神州纐纈城」より 著者:国枝史郎
衣に裁っても十分用に足りるだけの幅も長もあったけれど、不思議のことにはその紅巾は
蝉の羽根のように薄いところから、掌の中へ握られるほどにまた小さくもなるのであった....
「B教授の死」より 著者:寺田寅彦
うな気がした。 あるひどい雨の日の昼ごろにたずねて来たときは薄絹にゴムを塗った
蝉の羽根のような雨外套を着ていたが、蒸し暑いと見えて広くはげ上がった額から玉のよ....
「怪星ガン」より 著者:海野十三
をにぎって、他の端を高くお面のほうへ近づけた。すると、お面の両耳が、ぷるぷるッと
蝉の羽根のようにふるえた。 「あッ」 つづいて、二本の緑色の角が、にゅーッと前....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
る。マダム・タニイは巴里トロンシェ街の衣裳屋ポウラン夫人が自分で裁断鋏をふるった
蝉の羽にシシリイ島の夕陽の燃えてる夜宴服をくしゃくしゃにして、むき出しの細い二の....
「源氏物語」より 著者:紫式部
が、そのあとで空蝉は小君《こぎみ》を使いにして小袿《こうちぎ》の返歌だけをした。
蝉の羽もたち変へてける夏ごろもかへすを見ても音《ね》は泣かれけり 源氏は空蝉....
「雁」より 著者:森鴎外
た女の姿が、岡田には別に深い印象をも与えなかった。しかし結い立ての銀杏返しの鬢が
蝉の羽のように薄いのと、鼻の高い、細長い、稍寂しい顔が、どこの加減か額から頬に掛....
「母の手毬歌」より 著者:柳田国男
として夏のものとなると、もちろん糸の細いかるい布がよろこばれ、ついにこのごろ見る
蝉の羽のようなものばかりが、麻の上布だと思われるようになったのである。しかし奥羽....