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蝉脱
「蝉脱〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蝉脱の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「弓町より」より 著者:石川啄木
。今思ってもその心持が忘られない。 詩が内容の上にも形式の上にも長い間の因襲を
蝉脱《せんだつ》して自由を求め、用語を現代日常の言葉から選ぼうとした新らしい努力....
「思想と風俗」より 著者:戸坂潤
いと思っている。教養とは何かはまだ判らないのだが、とに角従来の教養の本質的な変更
蝉脱なしには、吾々は真の教養を得ることは出来ないだろう。今日の教養やビルドゥング....
「科学論」より 著者:戸坂潤
を支配。 * この資本主義社会の現在に於ける諸矛盾とそれによる新しい社会制度への
蝉脱とは、社会科学的世界の最も生彩のある内容であるが、史的唯物論のごく全般的な規....
「現代哲学講話」より 著者:戸坂潤
孕みつつある。それは対立的な矛盾物を通して、之を乗り越えて、新しい社会構造にまで
蝉脱しようとしている。従って又之に並行して、イデオロギーは旧いものから新しいもの....
「思想としての文学」より 著者:戸坂潤
る新しい形態のジャーナリズムを、何等かの意味でのプロレタリア・ジャーナリズムを、
蝉脱せしめつつあるように見える。純文学や大衆文学に拘らず、左翼の文学の素地が着々....
「霊訓」より 著者:浅野和三郎
聖者気取りの穀潰しが、一人出来上る丈である。日本国民は、一時も早くそんな陋態から
蝉脱して、一歩一歩向上の生きた仕事に従わねばならぬ。 次に『非命の死と罪悪』の....
「女客一週間」より 著者:豊島与志雄
一人で、泊るつもりで闖入してきている。バーの女給から、小賢しい変に真面目な女性に
蝉脱している。白粉気が少くて、耳朶が一寸美しい。いつもの無邪気な大きな目玉だが、....
「映画雑感(Ⅴ)」より 著者:寺田寅彦
の設計であるように見える。一九〇九年型の女優が一九三四年式のぴちぴちした近代娘に
蝉脱した瞬間のスリルがおそらくこの作者の一番の狙いどころではないかと思われる。そ....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
る。その形象は妄執に相応する動物として示されねばならない。暗黒の中の光明、苦悩を
蝉脱する献身も、やがてそこから生ぜねばならない。 鶴見の動物観は人間を輪廻の一....
「脱出と回帰」より 著者:中井正一
、その一生の大半の後に、これに直面するのである。この時、人々はディレッタントから
蝉脱せしめられるのである。 吸いよせられるような苦闘が、ここから始まる。多くの....
「自分と詩との関係」より 著者:高村光太郎
刻がほんとに物になるのは六十歳を越えてからの事であろう。私の詩が安全弁的役割から
蝉脱して独立の生命を持つに至るかどうか、それは恐らくもっと後になってみなければ分らない事であろう。....
「深川の散歩」より 著者:永井荷風
しき時代の深川を見る時、おくれ走《ば》せながら、わたくしもまた旧時代の審美観から
蝉脱《せんだつ》すべき時の来《きた》った事を悟らなければならないような心持もする....
「図書館協会六十周年に寄せて」より 著者:中井正一
。 この伝統を、欧米はいち早く脱して、「文庫から図書館へ」の道を一九〇〇年代に
蝉脱していったのである。 日本は、それから立ち後れていったのである。協会はでき....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
野の上のお前の微かな影のうちに住むことは出来まいか。
あらゆる知識の塵の中から
蝉脱して、
お前の露を浴びて体を直すことは出来まいか。
ああ、せつない。己はま....
「戦争史大観」より 著者:石原莞爾
がら、専制的支配を必要とする傭兵であったため、十八世紀中には遂にこの横隊戦術から
蝉脱する事が出来なかった。 主将は戦役(戦役とは戦争中の一時期で通常一カ年を指....