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蝋人形
「蝋人形〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蝋人形の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「秘密の風景画」より 著者:佐左木俊郎
美佐子は叫びながらとうとう泣き出してしまった。 ――昭和五年(一九三〇年)『
蝋人形』十二月号――....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
月のはじめにひと先ず横浜を立ち退くことにしたが、その時ロイドには無断で商売道具の
蝋人形を持って行ってしまったのである。江戸ではまだこの新手を知るまいと思ったので....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
突っ込んだ。「だいたいその時伸子の瞼を下させたのは? 全身を蝋質撓拗性みたいな、
蝋人形のようにしてしまった道程が説明されていない」
法水は大風な微笑を泛べて....
「鎮魂歌」より 著者:原民喜
可憐《かれん》な粘土細工か何かのように夢のなかでは現れてくる。無気味な粘土細工は
蝋人形《ろうにんぎょう》のように色彩まである。そして、時々、無感動に蠢《うご》め....
「暗黒公使」より 著者:夢野久作
い顔と、この服装とをモウ一度見上げ見下した。これはどこかの洋服屋の飾窓の中に在る
蝋人形がそのまま抜け出して来て、ここに立っているのではないか……とあられもない事....
「戦場」より 著者:夢野久作
と、ズボンの破れから露出した膝小僧の皮が痛々しく擦り破れていたが、それでも店頭の
蝋人形ソックリの青い大きな瞳を一パイに見開いて、鋼鉄色の大空を凝視していた。一心....
「火葬国風景」より 著者:海野十三
ドはいやに背が高く、そしてその間に挟まって店の方を向いているバアテンダーはまるで
蝋人形のような陰影をもっていた。 「いらっしゃいまし。……貴方のお席はチャンとあ....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
二つもついていた。 棺桶ではない。どうやら風変りな大鞄であるらしい。 婦人は
蝋人形のように眉一つ動かさず、徐々に車を走らせて前を通り過ぎた。僕はカメラを頸に....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
論、同時に自分の面の色も変ったことでしょう。竜之助は盃《さかずき》を挙げたまま、
蝋人形のように白くなって動かない。 「…………」 「先生、大変、いつのまにか舟が....
「踊る地平線」より 著者:谷譲次
の像。呪詛と反感と狂望と歓喜。ゴウルキイの原稿。ゲルツェンの原稿。地下室に監房と
蝋人形の囚徒。秘密運動のじっさい。 この建物は一八一四年に出来たラスモヴスキイ....
「胚胎」より 著者:宮本百合子
の甲斐ないせいでござるわのう。代って祈って進ぜようか。 王 わしの形をいたいた
蝋人形を作られたり、よう気のつかなんだ間に髪を一つまみぬかれたりいたすよりはまだ....
「キャラコさん」より 著者:久生十蘭
た池の面《おもて》をジッと見つめている。頬も唇もすき透るように蒼くなって、まるで
蝋人形のようなようすをしていた。 キャラコさんは、なんともつかぬ深いため息をつ....
「冒した者」より 著者:三好十郎
実際に死んでしまったように、全く動かなくなる。それは、ちょうど一撃のもとに全員が
蝋人形になってしまったかのようである。……そのままで時間がたつ。次第に暗くなって....
「三稜鏡」より 著者:佐左木俊郎
して了った。そして棺の中へは、犬の骨格を剥製にして店先へ飾ってあったのを胴にし、
蝋人形の等身大の首を頭部にして、俄造りに出来上った等身大の人形を詰込んで固く釘を....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
またちっとも存じませんで――」お米の頬には白粉の下から桃色の血がボッとしてきた。
蝋人形の冷たい顔に灯が映えたようである。 「こんな所でお目にかかろうとは不思議な....