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蝋石
「蝋石〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蝋石の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「指と指環」より 著者:佐左木俊郎
で茶碗を掻《か》き廻した。婦人の手の上に、ゆらゆらと銀光の陰影が絡《から》んだ。
蝋石のように白く、靭《しなや》かに細長い婦人の指を、彼は興奮状態で視詰め続けた。....
「草枕」より 著者:夏目漱石
どう見ても一個の美術品だ。ことに青味を帯びた煉上《ねりあ》げ方は、玉《ぎょく》と
蝋石《ろうせき》の雑種のようで、はなはだ見て心持ちがいい。のみならず青磁の皿に盛....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
の子供に生まれ変わり、ラテンの初歩をかじると、二千年前のローマ市民の子供になり、
蝋石盤をかかえて学校へ通うようになる。 おとなの読み物では、決して、これほど農....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
したまま、私をジッと見下していた。しかし内心は非常に緊張しているらしい事が、その
蝋石のように固くなっている顔色でわかったが、そのうちに私が振り返った顔を静かに見....
「谷より峰へ峰より谷へ」より 著者:小島烏水
さばって、もう血色がなくなったといったような、白い葉の楓が、雨に洗われて、美しい
蝋石色をしている。 崖が蹙まったところは、嘉門次と人夫とで、仆れた木を梯子代り....
「写生紀行」より 著者:寺田寅彦
かで落ち着いてたいへんに気持ちがよかった。小さな座敷の窓には柿の葉の黄ばんだのが
蝋石のような光沢を見せ、庭には赤いダーリアが燃えていた。一つとして絵にならないも....
「新しきシベリアを横切る」より 著者:宮本百合子
ラキラした眼が、小舎の暗い屋根、群集の真黒い頭の波の間に輝やいている。樺の木箱、
蝋石細工、指環、頸飾、インク・スタンド。 成程これは余分なルーブルをポケットに....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
て道楽にかいた書画に捺した大小の雅印が入れてあった。銅の糸印などもまじっている。
蝋石の頭に獅子の鈕みを彫った印材のままのものがある。箱入の唐墨がある。雌黄なんど....
「一世お鯉」より 著者:長谷川時雨
ひば》や槙《まき》の鉢植えが、あんまり勢いよくはなく並べられている。その後には白
蝋石《しろいし》の小卓が幾個か配置されてある。その卓のとっつきの一つで、小柄な娘....
「平賀源内捕物帳」より 著者:久生十蘭
。 どこもここも削ぎ取ったようになって、この身体に血が通《かよ》っているのか、
蝋石色《ろうせきいろ》に冴《さ》え返り、手足は糸のように痩せているのに、眼ばかり....
「深川女房」より 著者:小栗風葉
間で、申しわけのような床の間もあって、申しわけのような掛け物もかかって、お誂えの
蝋石の玉がメリンスの蓐に飾られてある。更紗の掻巻を撥ねて、毛布をかけた敷布団の上....
「漱石氏と私」より 著者:高浜虚子
ぬではなかった。私は氏を促し立てて湯殿に這入った。 湯殿は大きな鏡があったり、
蝋石のテーブルがあったり、新しい白木の湯槽に栓をねじると美しい京都の水が迸り出た....
「宮本武蔵」より 著者:吉川英治
あう夏の日を思わせるような性質のあるお通の一面に――こんな冷やかな――まるで白い
蝋石を撫でるような感じのする――そして指を触れれば切れそうな厳しい性格が、どこに....
「私の履歴書」より 著者:井上貞治郎
ン巻き屋の男に連れていかれたのは、加藤清正が朝鮮出兵のときに建立したといわれる「
蝋石の塔」の近くだった。彼の住んでいる家は最下級の人が住んでいる低い倉庫のような....