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蝋細工
「蝋細工〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蝋細工の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「幽霊塔」より 著者:黒岩涙香
の品は何であろう、女の顔である、余は一時、生首だろうかと怪しんだが生首では無い、
蝋細工の仮面である、死んだ人の顔を仮面に写して保存して置く事は昔から世に在る習い....
「半七捕物帳」より 著者:岡本綺堂
などがむやみに手に入るわけでもないのであるが、それに究竟の道具があった。ロイドは
蝋細工の大きい人形を故郷から持って来ていた。それは上半身の胸像のようなもので、大....
「蟇の血」より 著者:田中貢太郎
になりましたそうで、さあ、どうぞ」 讓は何時の間にか土間へ立っていた。背の高い
蝋細工の人形のような顔をした、黒い数多ある髪を束髪にした凄いように※な女が、障子....
「旅日記から」より 著者:寺田寅彦
月十一日 きょうは復活祭だという。朝飯の食卓には朱と緑とに染めつけたゆで玉子に
蝋細工の兎を添えたのが出る。米国人のおばあさんは蝋とは知らずかじってみて変な顔を....
「写生紀行」より 著者:寺田寅彦
してあのねちねちした豆の香をかぐような思いがする。 ある町の角をまがって左側に
蝋細工の皮膚病の模型を並べた店が目についた。人間の作ったあらゆる美しくないものの....
「映画雑感(Ⅱ)」より 著者:寺田寅彦
あるような気がする。実際始めのほうの宴会の場には骸骨の踊りがあるのである。胎児の
蝋細工模型でも、手術中に脈搏が絶えたりするのでも、少なくも感じの上では「死の舞踊....
「地獄の使者」より 著者:海野十三
んと着て、腰は深く椅子の中に埋め、上半身は前のめりになって額を小卓子の端へつけ、
蝋細工の人形のように動かなくなっていた、卓上には、洋酒用の盃や、開いた缶詰や、古....
「鬼仏洞事件」より 著者:海野十三
に注がれた。それは、奥から番号札を押し出した変に黄色い手であった。それはまるで、
蝋細工の手か、そうでなければ、死人の手のようであった。 三千子は、とたんに商売....
「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」より 著者:海野十三
低いオープン自動車を操縦するのは、耳目の整ったわりに若く見える三十前の女だった。
蝋細工のように透きとおった白い顔、そして幾何学的な高い鼻ばしら、漆黒の断髪、喪服....
「棺桶の花嫁」より 著者:海野十三
た。そして静かにミチミの亡骸を、寝棺のなかに入れてやったのであった。 ミチミの
蝋細工のような白い面を見ていると、杜は不図思いついて、彼女の鏡台を棺の脇に搬んで....
「次郎物語」より 著者:下村湖人
母は、昼間の明るい部屋の中で息を引きとったが、その臨終に大きく見開いた眼と、その
蝋細工のような皮膚の色とは、気味わるく次郎の頭に焼きついた。辰男は急病で死んだた....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
帯の間からは、身悶えするごとに、鴇色の帯揚げがはみ出し、髪へ掛けた鹿の子の布が、
蝋細工のような耳朶のあたりで揺れている態など、傷ましく哀れではあったが、尚美しさ....
「健康三題」より 著者:岡本かの子
と十二か十三で、脾弱な胴に結んだ帯がともすればずり落ちるほど腰の肉などなかった。
蝋細工のような細面を臆病そうにうつ向けて下唇を噛みながら相手を見た。ただ瞳だけが....
「空中征服」より 著者:賀川豊彦
からぬ松島が憤慨している。 市長はなおつづけた。 「ドイツの学者は人体の模型を
蝋細工で内臓から骨格、細胞から神経までいちいち丁寧に作っていれば一人に対して二億....
「梟の眼」より 著者:大倉燁子
思いますが――」 三キャラット以上もありそうな、純白ダイヤ入りの指輪だ。陽子は
蝋細工のような細い指にはめてみて、じっと眺めた。欲しいな、と思った、欲しい! し....