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蝨
「蝨〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蝨の前後の文節・文章を表示しています。該当する14件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「富士」より 著者:岡本かの子
逃げ込みそうなので片手で押えた。 膝がしらがちくちく痛痒い。翁が検めみると獣の
蝨《だに》が五六ぴき褌《はかま》の上から取り付いていた。猪の相撲場の土には親猪が....
「文字禍」より 著者:中島敦
る。さて、こうして、おかしな統計が出来上った。それによれば、文字を覚えてから急に
蝨《しらみ》を捕《と》るのが下手《へた》になった者、眼に埃《ほこり》が余計はいる....
「百物語」より 著者:森鴎外
あの女がそれに気が附かずにいる筈《はず》はない。なぜ死期《しご》の近い病人の体を
蝨《しらみ》が離れるように、あの女は離れないだろう。それに今の飾磨屋の性質はどう....
「世相」より 著者:織田作之助
みついた。 「待てよ、今お茶を淹れてやるから」 家人は奥の間で寝ていた。横堀は
蝨《しらみ》をわかせていそうだし、起せば家人が嫌がる前に横堀が恐縮するだろう。見....
「こころ」より 著者:夏目漱石
のです。それをまた大勢が寄ってたかって、わざと着せました。すると運悪くその胴着に
蝨《しらみ》がたかりました。友達はちょうど幸《さいわ》いとでも思ったのでしょう、....
「深夜の市長」より 著者:海野十三
昨夜闖入した暴漢は、実に黒河内の使嗾による者で、主立つ者は二人――一人はT市の壁
蝨というべき、有名なる無頼漢『深夜の市長』と、もう一人は愕くなかれ現職の司法官浅....
「赤耀館事件の真相」より 著者:海野十三
鬼の生首そのものだ」とか「秋の赤い夕陽が沈むころ、赤耀館の壁体は血を吸いこんだ壁
蝨のように真中から膨れて来る」とか言われている。秋十月の落日は、殊に赤のスペクト....
「庭の怪」より 著者:田中貢太郎
なって光長は己で庭へ出て見た。昨夜少年の角力をとっていたあたりに、一匹の黒蟻と牛
蝨が並んで死んでいた。....
「柿の種」より 著者:寺田寅彦
* ロンドンの動物園へインドから一匹の傘蛇が届いた。 蛇には壁
蝨が一面に取りついていた。 健全な蛇にはこの虫があまりつかないものである。 ....
「ドグラ・マグラ」より 著者:夢野久作
、頭の上から大鷲が蹴落しに来る。枝の間を伝って逃げ了せたと思うと、今度は身体中に
蝨がウジャウジャとタカリ初める。山蛭が吸付きに来る。寝ても醒ても油断が出来ない中....
「蒲生氏郷」より 著者:幸田露伴
の材料にしたり、研究の対象にするのも、まことにおもしろい。蚤《のみ》のような男、
蝨《しらみ》のような女が、何様《どう》致した、彼様《こう》仕《つかまつ》った、と....
「贋紙幣事件」より 著者:甲賀三郎
犬を抱えるようにして、びっこを引いている脚を持上げて、丁寧に調べた。 「やっぱり
蝨がついているんだ。可哀そうに。脚の爪の間に
蝨がつくと、自分では取れないからな。....
「ファウスト」より 著者:ゲーテヨハン・ヴォルフガング・フォン
さがさ云わせる奴に、もう己の詞が聞えよう。
こら。大鼠、小鼠、蠅に蛙に
南京虫、
蝨の王の
仰だぞ。遠慮なく這って出て、
そこの敷居をかじれかじれ。
ちょいと油を....
「放浪」より 著者:織田作之助
母の娘で、尋常一年生だから自分より一つ年下の美津子さんだとあとで知った。美津子は
蝨を湧かしていてポリ/\頭をかいていたが、その手が吃驚するほど白かった。 遅い....