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融ける
「融ける〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
融けるの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「女体」より 著者:芥川竜之介
うな、かすかに青い影を湛《たた》えているだけである。まして光をうけている部分は、
融けるような鼈甲色《べっこういろ》の光沢を帯びて、どこの山脈にも見られない、美し....
「富士」より 著者:岡本かの子
れでもするようにくねらせた。眼から鉾を突出すよう女を見入った。 女は思慮分別も
融けるような男の息吹きを身体に感じた。しかし前回での男とのめぐり合いののち、富士....
「高山の雪」より 著者:小島烏水
本アルプスあたりでは、大洋より来る湿気を含める風が当って、降雪量は充分であるが、
融ける分量の方が積る分量より多いのであるから、氷河という現象を作らない。富士山は....
「雪の白峰」より 著者:小島烏水
農夫は、自分に説明して、シャモの雄《お》ン鳥《どり》の立っているようで、段々雪が
融けると、尾が消え、腹が※《むし》られ、耡《すき》のような形をして、消えてしまう....
「地軸作戦」より 著者:海野十三
そう」 「ふう、暑い暑い。これは一体どういうわけですかな。急に気温は騰るわ、雪は
融けるわ、その水蒸気のせいで湿度百パーセント、なんという蒸し暑さでしょう」 「な....
「宇宙尖兵」より 著者:海野十三
リーマン博士と共謀して……」 「それは君の誤解だ。だからといって、君の疑惑がすぐ
融けるとは思わない。それはいずれゆっくり釈明するとして、おい岸、われわれはこれか....
「前記天満焼」より 著者:国枝史郎
手に取ることが出来ましょう。だが御用心なさりませ、今度は手の熱に冷やされて、棒が
融けるでございましょう。それはまだまだよろしいので。ではその時歌声が、こう響いた....
「血ぬられた懐刀」より 著者:国枝史郎
立腹とて、大したものではござりませぬ。お逢いしてお詫びをなされましたら、直ぐにも
融けるでござりましょう。決してご心配には及びませぬ。が、只今の機会を逃がして、伏....
「式部小路」より 著者:泉鏡花
も、この家に取っては、竈の下を焚きつくべき、火吹竹に過ぎず、と知って、立処に心が
融けると、放火も人殺もお茶うけにして退けかねない、言語道断の物語を聞く内にも、お....
「二葉亭余談」より 著者:内田魯庵
モの頸のような咽喉からドウしてアンナ艶ッぽい声が出るか、声ばかり聞いてると身体が
融けるようだが、顔を見るとウンザリする、」といった。が、顔を見るとウンザリしても....
「火と氷のシャスタ山」より 著者:小島烏水
である。がそれは必ずしも、好きであるからではない、位置が南に偏り過ぎて、雪が早く
融けるし、氷河は小ッぽけな塊に過ぎないし、富士山のように、新火山岩で、砂礫や岩石....
「飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
に何うしているだろう。」と、忠一は自ら問い、自ら答えて、「あんな奴等だから、雪の
融けるまで何処かの穴にでも潜っているだろうね。」 「そうだろう。併しあの以来、※....
「チベット旅行記」より 著者:河口慧海
は今渡った分には
かも知れない。ここで茶を沸し昼飯を済まして居る中にはこの氷が
融けるからそうしましょうというので、茶など飲んで十二時頃に川端の氷を叩き割って中....
「エリザベスとエセックス」より 著者:片岡鉄兵
や、病気や、それから遠い前哨への兵の配置や、いろいろの原因が重なって、彼の軍隊は
融けるように減少した。ついに、三カ月近くも、敵の主力軍を遙かにはずれた所で意味の....
「宝永噴火」より 著者:岡本かの子
ありありと眼底に見たことである。そしてそれが消え失せるまで、前の苦悩に引代え魂も
融けるような恍惚が全身の皮膚の薄皮の下まで匍い廻り、そのうれしさ、晴々しさ、私は....