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「蟄伏〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蟄伏の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
片信」より 著者:有島武郎
A兄 近来|出遇《であ》わなかったひどい寒さもやわらぎはじめたので、兄の蟄伏期《ちっぷくき》も長いことなく終わるだろう。しかし今年の冬はたんと健康を痛め....
綺堂むかし語り」より 著者:岡本綺堂
の少女を其の生贄として取り啖っていたが、満巻上人の神呪によってさすがの悪龍も永く蟄伏し、少女の生贄に代えて赤飯を供えることになった。それが一種の神事となって今も....
十二支考」より 著者:南方熊楠
たちまち脆《もろ》くなりて死すと。すべて※《がく》や大蛇諸種の蜥蜴など、飽食後や蟄伏中に至って動作遅緩なるより、竜身至って重してふ説も生じたであろう。インド、セ....
琵琶伝」より 著者:泉鏡花
されど一たび大磐石の根の覆るや、小石の転ぶがごときものにあらず。三昼夜麻畑の中に蟄伏して、一たびその身に会せんため、一|粒の飯をだに口にせで、かえりて湿虫の餌と....
十二支考」より 著者:南方熊楠
、野鼠の害多くなったと記す。朝鮮でも野鼠殖えて草を荒らす予防に、正月上子の日その蟄伏した処を焼いて野草の繁茂を謀ったので、支那で一月七日に家鼠を饗するを虫焼きと....
レ・ミゼラブル」より 著者:豊島与志雄
り頭を押しつけ、杯やコップや壜《びん》にとりまかれて、常に同じ姿勢のままでいた。蟄伏《ちっぷく》してる熊や血を吸いきった蛭《ひる》のように、圧倒し来る睡魔に襲わ....
女大学評論」より 著者:福沢諭吉
すいよ》或は花を弄ぶなど淫《ウカ》れに淫れながら、内の婦人は必ず女大学の範囲中に蟄伏《ちっぷく》して独り静に留守を守るならんと、敢て自から安心してます/\佳境に....
夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
思っているうちに、夢が青い空気のなかから搾りだされる。虚無の油である。それがまた蟄伏していたくちなわのうごめきを思わせる。気に感ずるような衝動を鶴見も感ぜずには....
市川九女八」より 著者:長谷川時雨
り上げられ、九代目団十郎から破門され、また岩井粂八の名にかえって、暫《しばら》く蟄伏《ちっぷく》しなければならなかった、嫌な思出と、若かった日のことなども、それ....
田沢稲船」より 著者:長谷川時雨
風雨《あらし》が、早くも家のなかに孕《はら》みだしていたのだ。 世間的に美妙が蟄伏《ちっぷく》していた時には、心ならずも彼女たちも矛《ほこ》を伏せていた、おか....
釘抜藤吉捕物覚書」より 著者:林不忘
することが流行《はや》って、ひところは軒並にその紙片《かみ》が見られたが、風邪も蟄伏《ちっぷく》した真夏の今日までそんな物を貼っておく家はまず一戸もなかった。と....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
をまじえたなどということは、山|詰の役人、誰一人として気がつかなかったが、永らく蟄伏していた世阿弥の心は、その日から、俄然と眼をさまして一|縷の望みを江戸の空へ....
三国志」より 著者:吉川英治
が行われていると途中で聞き、万一大事な兵糧を敵方に奪われてはと存じ、わざと山中に蟄伏して、戦いのを終るのを待って再び出かけました。そんなわけでありまして」 孔....
随筆 新平家」より 著者:吉川英治
才な信西入道ですが、彼は徹底した官僚頭脳と陰険な性情の持ち主でした。戦後、久しい蟄伏期を脱し、俄然、その鋭角を政治面に現わして来たものです。 信西の肚には、鳥....
茶漬三略」より 著者:吉川英治
くない人品と骨がらをも備えておられた。 越前の穴馬には、六年間ほど、郷士として蟄伏しておられた。その間に光秀様はわしを連れ、諸国を武者修行に歩いては、また、穴....