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蟇口
「蟇口〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蟇口の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「浅草公園」より 著者:芥川竜之介
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斜めに上から見おろしたベンチ。板を透かしたベンチの上には
蟇口《がまぐち》が一つ残っている。すると誰かの手が一つそっとその
蟇口をとり上げて....
「子供の病気」より 著者:芥川竜之介
介状を貰《もら》いましたから」青年は無骨《ぶこつ》そうにこう云った。自分は現在|
蟇口《がまぐち》に二三円しかなかったから、不用の書物を二冊渡し、これを金に換《か....
「温泉だより」より 著者:芥川竜之介
きぶし》芝居に驚いたこと、蕨狩《わらびが》りに行ったこと、消防の演習を見たこと、
蟇口《がまぐち》を落したことなどを記《しる》せる十数|行《ぎょう》あり。)それか....
「星座」より 著者:有島武郎
》された。その時ふっと考えついた思案をすぐ実行に移した。彼は懐中を探《さぐ》って
蟇口《がまぐち》を取りだした。そしてその中からありったけの一円五十銭だけ、大小の....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
うじゃございませんか。なにとぞ御賛成を願います」 渠は直ちに帯佩《おびさ》げの
蟇口《がまぐち》を取り出して、中なる銭を撈《さぐ》りつつ、 「ねえあなた、ここで....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
ん、鈍漢。どの道、掏られたにゃ違えはねえが、汝がその間抜けな風で、内からここまで
蟇口が有るもんかい、疾くの昔にちょろまかされていやあがったんだ。 さあ、お目通....
「木の子説法」より 著者:泉鏡花
白髪のお媼さんが下足を預るのに、二人分に、洋杖と蝙蝠傘を添えて、これが無料で、蝦
蟇口を捻った一樹の心づけに、手も触れない。 この世話方の、おん袴に対しても、―....
「薄紅梅」より 著者:泉鏡花
吹消した提灯を、鼠に踏まえて、真鍮の煙管を鉄扇で、ギックリやりますし、その方は蝦
蟇口を口に、忍術の一巻ですって、蹴込へ踞んで、頭までかくした赤毛布を段々に、仁木....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
だらけな頬を撫でる。 「私は、黙って懐中を探しました。さあ、慌てたのは、手拭、蝦
蟇口、皆無い。さまでとも思わなかったに、余程|顛動したらしい。門へ振落して来たで....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
大肌脱になっていて、綿八丈の襟の左右へ開けた毛だらけの胸の下から、紐のついた大蝦
蟇口を溢出させて、揉んでいる。 「で、旦那、身投げがござりましてから、その釜ヶ淵....
「錦紗」より 著者:犬田卯
裾を下ろすために立ち止り、帯の間へ手をやった。そしてふと、そこに挟んであるはずの
蟇口をさらにしっかと挟みかえようとすると、それが無い。 「おや!」彼女は口走った....
「瓜の涙」より 著者:泉鏡花
だか、朱の総のついた奴をすくりと刺している。 年倍なる兀頭は、紐のついた大な蝦
蟇口を突込んだ、布袋腹に、褌のあからさまな前はだけで、土地で売る雪を切った氷を、....
「山吹」より 著者:泉鏡花
ちかくれる。(一息に煽切る)ああッ、う――い。……御勘定……(首にかけた汚き大蝦
蟇口より、だらしなく紐を引いてぶら下りたる財布を絞り突銭する)弘法様も月もだがよ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
もんですから、」ずっと、長火鉢の前を悠々と斜に過ぎ、帯の間へ手を突込むと小さな蝦
蟇口を出して、ちゃらちゃらと箪笥の上に置いた。門口の方を透して、 「小僧さん、ま....
「河伯令嬢」より 著者:泉鏡花
い歩行く。 一向に美術家でない。錺屋、錺職をもって安んじているのだから、丼に蝦
蟇口を突込んで、印半纏で可さそうな処を、この男にして妙な事には、古背広にゲエトル....