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「蟇蛙〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蟇蛙の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
草枕」より 著者:夏目漱石
ている。右を向くと顔中鼻になる。左を出すと口が耳元まで裂ける。仰向《あおむ》くと蟇蛙《ひきがえる》を前から見たように真平《まったいら》に圧《お》し潰《つぶ》され....
初蛙」より 著者:薄田泣菫
くだくのワイシャツを着ていました。それを見ると博士は言いました。 「おい、今のは蟇蛙じゃないか。」 「いいえ、すっぽんどっせ、あんたはん。」 男は初めて振返っ....
艸木虫魚」より 著者:薄田泣菫
しょ濡れになって、無花果の上葉から下葉へと飛び下りました。 そこには皺くちゃな蟇蛙がいて、待っていたように悪態を吐きました。 「慾のない小伜めが。一家一族の面....
古井戸」より 著者:豊島与志雄
憎々しいその身体全体が、彼には堪え難かった。 それが、そこに、電燈の光の下に、蟇蛙《ひきがえる》のようにのっそりと構えこんでいた。存在することだけで既に罪悪の....
波多野邸」より 著者:豊島与志雄
立ち上って、ちょっとお辞儀をした。 朝早く、畠に出てみると、土瓶のように大きな蟇蛙がいた。それの宿にするため、中を空洞にして、瓦や石を積み上げているのである。....
未亡人」より 著者:豊島与志雄
ったでしょう。あすこでは今頃、蛙どもが必死の恋愛をやってる筈です。蛙といっても、蟇蛙ですよ。あれは面白い奴で、冬の間、土にもぐって冬眠していますが、早春の陽気に....
つづれ烏羽玉」より 著者:林不忘
ならず、単身饗庭邸に案内を求めると、取り次ぎに出たのが、 「女のような」どころか蟇蛙《ひきがえる》みたいな、久七のお武家とは似ても似つかぬこのごま塩頭だ。 さ....
小説 円朝」より 著者:正岡容
わ、こりゃ――」 吃驚したような声を立てて二十二、三になる円顔の男が、ペタッと蟇蛙《ひきがえる》のように両手を仕えた。誰かに似ているなとおもったが、ちょっとお....
鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
繁昌や千船百船の港口も、ここからはまるみえだ。ネ、そちらのお嬢ッちゃん」 と、蟇蛙が立ったような中腰でフーッと酒臭い息を吹っかけたもので、遠眼鏡に興じていた人....