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蟷螂
「蟷螂〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蟷螂の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「二、三羽――十二、三羽」より 著者:泉鏡花
た処へ餌を見せても影を見せない。炎天、日盛の電車道には、焦げるような砂を浴びて、
蟷螂の斧と言った強いのが普通だのに、これはどうしたものであろう。……はじめ、ここ....
「黒死館殺人事件」より 著者:小栗虫太郎
診察を終って入って来た乙骨医師は、五十をよほど越えた老人で、ヒョロリと瘠せこけて
蟷螂のような顔をしているが、ギロギロ光る眼と、一種気骨めいた禿げ方とが印象的であ....
「桶狭間合戦」より 著者:菊池寛
定しようと考えて居ます処、義元横暴にして来り侵して居ます。敵味方の衆寡はあだかも
蟷螂の車轍に当る如く、蚊子の鉄牛を咬むが如きものがあります。願わくば天下の為に神....
「神秘昆虫館」より 著者:国枝史郎
、チャリ――ンと太刀の音! すなわち南部集五郎が苦もなく払って退けたのである。「
蟷螂《とうろう》に斧だ! くたばれ女郎!」 その時ジ――ンと音がした。冷泉華子....
「毒瓦斯発明官」より 著者:海野十三
キーじゃ。ペパミントじゃ」 金博士が、醤に負けないような大きな声を出し、怒った
蟷螂のような恰好で、拳固で天をつきあげた。 3 博士の例の地下研究所....
「大切な雰囲気」より 著者:小出楢重
ことごとくが整頓準備されている。夏の初めのころだった。私の画室のテーブルに一匹の
蟷螂の子供が現れた。その子供はまだ五分の長さを持っていなかったのに、
蟷螂としての....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
見い。あっちからも、こっちからも、ばさばさと遁出すわ、二疋ずつの、まるでもって※
蟷螂が草の中から飛ぶようじゃ。其奴の、目星い処を選取って、縦横に跡を跟けるわい。....
「怨霊借用」より 著者:泉鏡花
、十六七とばかり御承知で……肥満って身体が大いから、小按摩一人肩の上で寝た処で、
蟷螂が留まったほどにも思わない。冥利として、ただで、お銭は遣れないから、肩で船を....
「余裕のことなど」より 著者:伊丹万作
つたことは想像に難くない。首を反つくりかえらして口には雪のような泡を噛み、怒つた
蟷螂のように前肢を挙げ、必死になつて轡にぶら下る雑兵四、五人を引きずるようにして....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
自適している。 一体鶴見には偏好性があって、虫類では蜥蜴が第一、それから守宮、
蟷螂という順序である。静岡に住んでいた間は、それらの三者に殊に親しさを感じていた....
「ながうた勧進帳」より 著者:酒井嘉七
話をされていたものでございます。この方は、色の黒い、瘠せぎすな、悪く申しますと、
蟷螂を思わせる様な御仁でございましたが、お商売がら、と申すのでございましょうが、....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
に鬼が顕われ、夕顔の蕊もおはぐろでニタリと笑う。柳の雫も青い尾を曳く。ふと行燈に
蟷螂でも留ったとする……眼をぎょろりと、頬被で、血染の斧を。 「あれえ。」 筆....
「ピストルの使い方」より 著者:泉鏡花
、もうね、素裸の額へ、お平の蓋を顱巻で留めて、――お酌の娘の器用な三味線で――(
蟷螂や、ちょうらいや、蠅を取って見さいな)――でね、畳の引合せへ箸を立てて突刺し....
「押しかけ女房」より 著者:伊藤永之介
つて来て、桜鳥は飛び立つ。そのあとを、馬鍬にとりついて行く男の上半身シヤツ一枚の
蟷螂みたいな痩せぎすな恰好はたしかに秀治にちがいなかつた。 「おー、よく稼ぐな」....
「フレップ・トリップ」より 著者:北原白秋
眼が迫って険しい、青いしゃっ面の、四十前後の、それは鼻っぱしの恐ろしい番頭君が、
蟷螂さながらの敷居際の構えで、ヤッと片手の利鎌を振り立てた。宿帳をつけに来て、坐....