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蟻地獄
「蟻地獄〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蟻地獄の前後の文節・文章を表示しています。該当する9件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「忠義」より 著者:芥川竜之介
まいたいと思う事が、度々ある。が、それは、ささくれた神経の方で、許さない。彼は、
蟻地獄《ありじごく》に落ちた蟻のような、いら立たしい心で、彼の周囲を見まわした。....
「武装せる市街」より 著者:黒島伝治
色は、古びた梨のように変化した。 麻酔薬は、体内の細胞を侵していた。 彼は、
蟻地獄に陥る蟻だった。どんなに、もがいても、あがいても、吸わずにいられなくなって....
「火星兵団」より 著者:海野十三
ことはわかっているが、植物の方は、全く動かないものばかりとも言えない。たとえば、
蟻地獄と言われる草や、蠅取草のようなものは、自分で動いて、蟻とか蠅とかを捕えると....
「無題(三)」より 著者:宮本百合子
の長い御かげでとばしりの来ない部屋に座って蟻塚は崩されたり埋められたりすまいか、
蟻地獄の摺鉢も、大方流れたろうなどと思う。こんな時に、野鳥の巣はどうなるのかしら....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
心の方へ傾きながら走っていた。私達はあらゆる努力をして渦巻の外へ出ようとしたが、
蟻地獄へ落ちた蟻のようにどうすることも出来なかった。船は岸上に屯ろしている土人軍....
「廃墟(一幕)」より 著者:三好十郎
女に引っかかっちゃ。マルキストがいっぺんに台なしになるよ。……あの手の女は、先ず
蟻地獄――君みたいな身体だと忽ち命取りだぜ。ふふ……でも、その気が有りゃ、向うを....
「三国志」より 著者:吉川英治
た。 曹操は早くもそれを察していた。なぜならば、坑の口から外へだした土の山が、
蟻地獄のように、敵陣の諸所に盛られ始めたからである。 「どうしたら防げるか」 ....
「三国志」より 著者:吉川英治
を掘らせた。 坑から上げた土は、厚い土壁とし、数条の堤となし、壇となし、ここに
蟻地獄のような土工業が約一ヵ月も続いた。 さながら埃及のピラミッドを見るような....
「黒部川奥の山旅」より 著者:木暮理太郎
漏斗の内壁にザラザラと落ちて来て、其上を蹈むとするりと滑る、ハッと胸騒ぎがする、
蟻地獄の縁を匐い廻る小虫の惨めさを思い出す。全身の力を十指に籠めて軽く足を内壁に....