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蠕
「蠕〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
蠕の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「女体」より 著者:芥川竜之介
ような気に帰ったと思うと、いつか楊の魂はあの虱の体へはいって、汗臭い寝床の上を、
蠕々然《ぜんぜんぜん》として歩いている。楊は余りに事が意外なので、思わず茫然と立....
「人間失格」より 著者:太宰治
けでした。 自分の人間恐怖は、それは以前にまさるとも劣らぬくらい烈しく胸の底で
蠕動《ぜんどう》していましたが、しかし、演技は実にのびのびとして来て、教室にあっ....
「生きている腸」より 著者:海野十三
腸《はらわた》が、よく見ると、ぐにゃりぐにゃりと動いている。リンゲル氏液の中で、
蠕動をやっているのであった。 生きている腸《はらわた》! 医学生吹矢が、もう....
「応仁の乱」より 著者:菊池寛
きい。京都に起った此の争乱がやがて、地方に波及拡大し、日本国中が一つの軟体動物の
蠕動運動の様に、動揺したのである。此の後に来るものが所謂戦国時代だ。即ち実力主義....
「崩れる鬼影」より 著者:海野十三
ンとした液体が、クネクネとまるで海蛇の巣を覗いたときはこうもあろうかというような
蠕動を始めました。なんという気味のわるい生物でしょう。覗きこんでいる人々の額には....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
も立てない、死んだもののようになっている。死んでいるのかも知れない。大蛇は静かに
蠕動《ぜんどう》して、そうして確かに生きている。 はっ! と、村正氏はついに雪....
「録音集」より 著者:豊島与志雄
耳を自分の身体内部からそらすことが出来ず、呼吸と血の循環との規則的な音に、胃腸の
蠕動の不規則な音が交錯して、その騒音に始終神経を刺激され、睡眠もよくとれないのだ....
「非情の愛」より 著者:豊島与志雄
高く挙げると共に、上体を前に屈めて畳とすれすれになり、手先から腰へかけて、ゆるい
蠕動をはじめた。神子はただ合掌して読経していたが、ちらと、美春の方を振り向いた。....
「潜航艇「鷹の城」」より 著者:小栗虫太郎
きには薄紅く透いて見え、また、その泡が消え去るまでの間は、四つの手が、薄気味悪く
蠕動していて、それには海盤車の化物とでも思われるような生気があった。 しかし、....
「夢は呼び交す」より 著者:蒲原有明
かれて、今までに覚えなかった快楽をかれの方にさし向けて来た。理性が漸くその機能の
蠕動をもって自覚の徴候を示すようになって来たのである。しかしとんぼの代りに名利を....
「血曼陀羅紙帳武士」より 著者:国枝史郎
いる二人を、紙帳は、昼の陽光を浴びて、琥珀色に、明るく、蔽うていた。時々、横腹が
蠕動し、ウネウネと皺を作ったり、フワリと膨れたりするのは、春風が、外から吹き当た....
「ふるさとに寄する讃歌」より 著者:坂口安吾
透明な波でしかなかった。私は磯の音を脊髄にきいた。単調なリズムは、其処から、鈍い
蠕動を空へ撒いた。 私は窶れていた。夏の太陽は狂暴な奔流で鋭く私を刺し貫いた。....
「老狸伝」より 著者:佐藤垢石
。そして、額は短いのである。 山や野に穴居して夜になると這いだして残肴や昆虫、
蠕虫などを漁り、時には植物質のものを食うこともある。六、七月頃、子を産む。地方に....
「百喩経」より 著者:岡本かの子
。よろしい」 男の略図のような単純な五臓六腑が生れてはじめて食物を送る為以外に
蠕動するのが歯朶子に見えた。男は慄える唇を前歯の裏でおさえていった。 「僕はここ....
「三つの痣」より 著者:小酒井不木
何であるかと申しますと、犯人の眼の前で死体を解剖し、その小腸を切り出して、それを
蠕動させることなのです。 御承知かも知れませんが、人間の心臓や腸は、その人の死....