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「蠢く〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す

蠢くの前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
生きている腸」より 著者:海野十三
にちょこんと腰をかけ、さも感にたえたというふうに腕組みして、清澄なる液体のなかに蠢くこの奇妙な人体の一部を凝視している。 ぐにゃ、、ぐにゃ、ぐにゃ。 ぶるっ....
婦系図」より 著者:泉鏡花
の魚だもの、誰のを買ったって新鮮いのは無い。たまに盤台の中で刎ねてると思や、蛆で蠢くか、そうでなければ比目魚の下に、手品の鰌が泳いでるんだと、母様がそう云ったっ....
空襲葬送曲」より 著者:海野十三
被り直すと、同室の僚友に、軽く会釈をし、静かに扉を開けて出て行った。 闇に蠢くもの 「おい、蘭子氏、えらいことになったぞ」 暗闇の小屋の一隅から、若い男....
食魔」より 著者:岡本かの子
に痺れてぽかんとなってしまった鼈四郎の脳底に違ったものが映り出した。見よ、そこに蠢くものは、もはやそれは生物ではない。埃及のカタコンブから掘出した死蝋であるのか....
海神別荘」より 著者:泉鏡花
顕すのは暴風雨の折から。如法たいてい暗夜じゃに因って、見えるのは墓の船に、死骸の蠢く裸体ばかり。色ある女性の衣などは睫毛にも掛りませぬ。さりとも小僧のみぎりはの....
貝の穴に河童の居る事」より 著者:泉鏡花
の拡ったほどのものが、靄に沁み出て、一段、一段と這上る。…… しょぼけ返って、蠢くたびに、啾々と陰気に幽な音がする。腐れた肺が呼吸に鳴るのか――ぐしょ濡れで裾....
みさごの鮨」より 著者:泉鏡花
」 絨毯を縫いながら、治兵衛の手の大小刀が、しかし赤黒い電燈に、錆蜈蚣のように蠢くのを、事ともしないで、 「何が、犬にも牙がありゃ、牛にも角があるだあね。こん....
草迷宮」より 著者:泉鏡花
動いて、莞爾する、……その唇から血が流れる。 足は膠で附けたよう。 同一処で蠢く処へ、宰八の声が聞えたので、救助を呼ぶさえ呻吟いたのであった。 かくて、手....
神鷺之巻」より 著者:泉鏡花
山鳩は構いない。いたずらものの野鼠は真二つになって落ち、ぬたくる蛇は寸断になって蠢くほどで、虫、獣も、今は恐れて、床、天井を損わない。 人間なりとて、心柄によ....
」より 著者:池谷信三郎
ましい電車の鈴です自動車の頭灯です。光りが廻ると、その輪の中にうようよと音もなく蠢く、ちょうど海の底の魚群のように、人、人、人、人、……僕が眼を上げると、ほら、....
悪獣篇」より 著者:泉鏡花
たように、俯向いて熟と見る。 手水鉢と垣の間の、月の隈暗き中に、ほのぼのと白く蠢くものあり。 その時、切髪の白髪になって、犬のごとく踞ったが、柄杓の柄に、痩....
山吹」より 著者:泉鏡花
スキーです――清涼剤に――一体、これはどうした事です。 人形使 (びくりびくりと蠢く。) 画家 (且つこれを見つつ)どうした事情だか知りません。けれども、余り極....
雪柳」より 著者:泉鏡花
わり少し大いぞ。」 艾ですが、縦に二筋、数六つ。およそ一千疋の子を孕んだ蜘蛛の蠢くように、それが尼の手につれて、一つ一つ、青い動悸で、足を張って動く。……八つ....
飛騨の怪談」より 著者:岡本綺堂
」と、人々は眼を皿にして衾の周囲にどやどやと集った。重太郎は土龍のように衾の下で蠢くのであった。が、彼も流石に考えた。斯る始末となって多勢に取巻れては、到底本意....
活人形」より 著者:泉鏡花
ゆる部屋を漁り来て、北の台の座敷牢を念のため開き見れば、射込む洋燈の光の下に白く蠢くもののあるにぞ、近寄り見れば果せるかな、下枝はここにぞ発見されたる。 かば....