血の気[語句情報] »
血の気
「血の気〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
血の気の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「おぎん」より 著者:芥川竜之介
め、急に年をとったように見える。孫七も髭《ひげ》の伸びた頬《ほお》には、ほとんど
血の気《け》が通《かよ》っていない。おぎんも――おぎんは二人に比《くら》べると、....
「路上」より 著者:芥川竜之介
う云って、今更のようにかすかな吐息を洩らした。
「あなたは?」
初子は生々した
血の気を頬《ほお》に漲らせて、媚《こ》びるようにじっと新田の顔を見た。
「私は見....
「死後」より 著者:芥川竜之介
めた時、とり返しのつかぬことの出来たのを感じた。同時にまた僕自身の顔色も見る見る
血の気を失ったのを感じた。
「ちゃんとした人じゃないんだね?」
「あたしは悪い人....
「小さき者へ」より 著者:有島武郎
婦の握力がゆるんだのを感じて私は顔を挙《あ》げて見た。産婆の膝許《ひざもと》には
血の気のない嬰児《えいじ》が仰向けに横たえられていた。産婆は毬《まり》でもつくよ....
「星座」より 著者:有島武郎
て横《よこた》わっている。カンヌから来たという美しい処女シャーロット・コルデーは
血の気の失せた唇から「私は自分の仕事を仕遂《しと》げてしまった。今度はあなた方の....
「春の潮」より 著者:伊藤左千夫
詰めている。平生顔の色など変える人ではないけれど、今日はさすがに包みかねて、顔に
血の気が失せほとんど白蝋のごとき色になった。 自分ひとりで勝手な考えばかりして....
「紅黄録」より 著者:伊藤左千夫
るからにさびしい。生垣の根にはひとむらの茗荷の力なくのびてる中に、茗荷|茸の花が
血の気少ない女の笑いに似て咲いてるのもいっそうさびしさをそえる。子どもらふたりの....
「浮かぶ飛行島」より 著者:海野十三
をあつめているこの飛行島が見られるというのだから、わが須磨明石二艦に乗組んでいる
血の気の多い士官候補生たちにとっても、明日という日がどんなにか待たれていた。 ....
「半島一奇抄」より 著者:泉鏡花
皆食うか、と云った。坊主だけに鰯を食うかと聞くもいいが、ぬかし方が頭横柄で。……
血の気の多い漁師です、癪に触ったから、当り前よ、と若いのが言うと、(人間の食うほ....
「政談十二社」より 著者:泉鏡花
い、もっとも赤十字とやらのお顔利と申すこと、丸顔で、小造に、肥っておいで遊ばす、
血の気の多い方、髪をいつも西洋風にお結びなすって、貴方、その時なんぞは銀行からお....
「黒百合」より 著者:泉鏡花
止んだ。 「しっかりしねえ、もう可いぜ。」といって、少年は手を放した。 お雪は
血の気を失った顔を、恐る恐る上げて仰いだが、少年を見ると斉しく身を顫わした。 「....
「真夏の夢」より 著者:有島武郎
した。その時奥さんは縁側に出て手ミシンで縫物をしていました。顔は百合の花のような
血の気のない顔、頭の毛は喪のベールのような黒い髪、しかして罌粟のような赤い毛の帽....
「人魚のひいさま」より 著者:アンデルセンハンス・クリスチャン
たかだかと海のうえにおのぼりになりますと、それといっしょに、王子のほおにもさっと
血の気がさしてきたようにおもわれました。でも、目はとじたままでした。人魚のひいさ....
「葛飾砂子」より 著者:泉鏡花
、胸を見な、不動様のお守札が乗っけてあら、そらの、ほうら、」 菊枝は嬉しそうに
血の気のない顔に淋しい笑を含んだ。 「むむ、」と頷いたがうしろ向になって、七兵衛....
「三枚続」より 著者:泉鏡花
耳朶に紅を染めた。胴を反して、雪なす足を折曲げて、 「あ痛々々々。」 たちまち
血の気は頬に消えて、色は一際白ずむのである。 「虫殺しだ、ちったあ痛えや。」 「....