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血汐
「血汐〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
血汐の前後の文節・文章を表示しています。該当する15件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「外科室」より 著者:泉鏡花
るナイフにも眼《まなこ》を塞《ふさ》がんとはなさざりき。 と見れば雪の寒紅梅、
血汐《ちしお》は胸よりつと流れて、さと白衣《びゃくえ》を染むるとともに、夫人の顔....
「義血侠血」より 著者:泉鏡花
ぬ。これ実に最後の一撃なりけるなり。白糸は生まれてよりいまだかばかりおびただしき
血汐《ちしお》を見ざりき。一坪の畳は全く朱《あけ》に染みて、あるいは散り、あるい....
「玉藻の前」より 著者:岡本綺堂
で出ていつまでも見送っていたが、枯木のような彼は急に若やいだ心持になって、総身の
血汐が沸くように感じられた。彼は燃えるような眼をあげて夢ごころに陰った空を仰いで....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
端近で、綺麗に分けてやって、前へ廻って覗き込むように瞳をためて顔を見た。 胸の
血汐の通うのが、波打って、風に戦いで見ゆるばかり、撓まぬ膚の未開紅、この意気なれ....
「青蛙堂鬼談」より 著者:岡本綺堂
溺している美しい妻の要求をしりぞけることは出来なくて、彼はその言うがままに人間の
血汐をお冬にねぶらせた。 その夜の閨の内で、彼は妻からどんな註文を出されたのか....
「鷭狩」より 著者:泉鏡花
チンチンと、微に鉄瓶の湯が沸るような音が交る。が、それでないと、湯気のけはいも、
血汐が噴くようで、凄じい。 雪次郎はハッと立って、座敷の中を四五|度廻った。―....
「草迷宮」より 著者:泉鏡花
も言わず、私を拝んでいなさいます。お美しい、お優しい、あの御顔を見ましては、恋の
血汐は葉に染めても、秋のあの字も、明さんの名に憚って声には出ませぬ。 一言も交....
「女客」より 著者:泉鏡花
落着いて静にいうのを、お民は激しく聞くのであろう、潔白なるその顔に、湧上るごとき
血汐の色。 「切迫詰って、いざ、と首の座に押直る時には、たとい場処が離れていても....
「南地心中」より 著者:泉鏡花
れる。人目も振も、しどろになって背に縋った。多一の片手の掌も、我が唇を圧余って、
血汐は指を溢れ落ちた。 一座わっと立騒ぐ。階子へ遁げて落ちたのさえある。 引....
「星女郎」より 著者:泉鏡花
を斬った心持が、骨髄に徹して忘れられん。……思い出すと、何とも言えず、肉が動く、
血汐が湧く、筋が離れる。 他の事は考えられず、何事も手に着かない、で、三度の食....
「探偵夜話」より 著者:岡本綺堂
)をとり出して、それを得物にして相手の眉間を強く撲った。撲たれて皮肉を破られて、
血汐が目にしみるほどであったが、鳶はすこぶる剛気の男で組みついた手をゆるめず、泥....
「小坂部姫」より 著者:岡本綺堂
襟に乱れかかっていた。小袖もところどころ斬り裂かれて、肩や胸のあたりには生々しい
血汐がねばり着いているらしかった。大勢の敵を相手にして、彼は数ヵ所の深手を負った....
「山吹」より 著者:泉鏡花
人 ああ。あいよ。(興奮しつつ、びりびりと傘を破く。ために、疵つき、指さき腕など
血汐浸む――取直す)――畜生――畜生――畜生――畜生―― 人形使 ううむ、(幽に....
「活人形」より 著者:泉鏡花
るに、白き衣切ようのものに、礫を一つ包みてありけり。押開きて月に翳せば、鮮々しき
血汐にて左の文字を認めたり。 虐殺にされようとする女が書きました。どうぞ、この....
「黒猫十三」より 著者:大倉燁子
断髪が襟足に乱れかかって、何とも云えぬ美しさだ。桃色のドレスの肩から流れ出ている
血汐は、細そりした白蝋のような腕を伝わり、赤い一筋の線を描きながら、白いゴム・マ....