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血痰
「血痰〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
血痰の前後の文節・文章を表示しています。該当する11件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「人間失格」より 著者:太宰治
長は、検事局に送る書類をしたためながら、 「からだを丈夫にしなけれゃ、いかんね。
血痰《けったん》が出ているようじゃないか」 と言いました。 その朝、へんに咳....
「海野十三敗戦日記」より 著者:海野十三
る。第三次世界大戦は、人類の滅亡を意味するであろう」 十一月十四日 ◯朝来より
血痰ありしが、夜に入りて少々念入りに赤き血を吐く。 十一月十八日 ◯徹郎君より....
「橇」より 著者:黒島伝治
て来た。 再び、将校の銃先から、煙が出た。今度は弱々しそうな頬骨の尖っている、
血痰を咯いている男が倒れた。 それまでおとなしく立っていた、物事に敏感な顔つき....
「パンドラの匣」より 著者:太宰治
には、なんの不平も無い。僕は、六箇月で全快するそうだ。あれから一度も喀血しない。
血痰さえ出ない。病気の事なんか忘れてしまった。この「病気を忘れる」という事が、全....
「悶悶日記」より 著者:太宰治
日。 苦悩を売物にするな、と知人よりの書簡あり。 月 日。 工合いわるし。
血痰しきり。ふるさとへ告げやれども、信じて呉れない様子である。 庭の隅、桃の花....
「草藪」より 著者:鷹野つぎ
をきいても、私はあまり驚けなかった。病院というところは、誰れが熱を出した、誰れが
血痰したというような細事をまで声なき声のように疾風迅雷的に耳から耳に伝わるもので....
「風立ちぬ」より 著者:堀辰雄
分らなくなってドアのところに棒立ちに立っていた私に、ちょっと耳打ちした。「すこし
血痰を出してよ」 私はやっと彼女の枕元に近づいて行った。 彼女はぼんやりと目....
「二つの途」より 著者:豊島与志雄
肺炎の方がだいぶ進んでいた。――この頃に、尾野高子は看護にやって来た。――ひどい
血痰と高熱とが一週間余り続いた。心臓が次第に弱ってきた。熱が三十八度以下になって....
「好意」より 著者:豊島与志雄
ている洋封筒を懐にして訪れた時、吉岡はわりに元気な平静な気分でいた。今日は朝から
血痰が一度も出ないし、熱もないようだから、よかったらゆっくり話していってくれ給え....
「鳴門秘帖」より 著者:吉川英治
りを見て、にわかに、胸がムカムカとしてきた。この国へきてから、しばらく忘れていた
血痰が、胸のどこかに、時機を待って鬱滞しているのではないかというような神経を起こ....
「ひとりすまう」より 著者:織田作之助
いた。ぼくは呆然として、二人の背後姿を見ていた。 翌朝、トロムボゲンをのむと、
血痰は直ぐ止まった。二三日宿で臥床していると熱が下ったので、もうじっとして居られ....