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血走る
「血走る〜」の文章内での使われ方:小説や文学作品の中から探す
血走るの前後の文節・文章を表示しています。該当する12件の作品を表示しています。
検索対象[仮名遣い:新字新仮名]
「白髪小僧」より 著者:杉山萠円
つ。けれども自分は只一人。 男はとうとう怒り出し、吾れと吾が髪引掴み、 赤く
血走る眼を挙げて、遠い青空|睨《にら》みつつ、 大声揚げて泣きながら、天も響《....
「婦系図」より 著者:泉鏡花
田の奴が、怪しかりません事を。私は覚悟がございます、彼奴に対しましては、」と目の
血走るまで意気込んだが、後暗い身の明は、ちっとも立つのではなかった。 「覚悟があ....
「俊寛」より 著者:菊池寛
を地獄の底へ押し落した。俊寛は、狂気のように、その教書を基康の手から奪い取って、
血走る目を注いだけれども、そこには俊寛とも僧都とも書いてはなかった。俊寛は、激昂....
「茸の舞姫」より 著者:泉鏡花
ど、悚然とするのに、たちまち鼻が尖り、眉が逆立ち、額の皺が、ぴりぴりと蠢いて眼が
血走る。…… 聞くどころか、これに怯えて、ワッと遁げる。 「実家はな。」 と....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
た。
抑えたけれども、米友の力と、道庵の力とでは、相撲にならない。
「うーむ」
血走る眼に鈴鹿山を睨《にら》めて、米友はまた一段と乗り出しました。
「あぶねえよ....
「大菩薩峠」より 著者:中里介山
あった、あれより以上には、何をしてあげる力も無かったのだ。混乱の頭と、おのずから
血走るような眼で、それを見詰めていたお雪ちゃんは、結局、あの地点はあそこに相違な....
「丹下左膳」より 著者:林不忘
日の追憶が、源三郎の脳裡《あたま》を走ったのでした。
はかられたと知った源三、
血走る声で、
「爺《じい》!、安積《あさか》の爺! ダ、大八ッ――!」
叫んだ....
「イタリア人」より 著者:寺田寅彦
西風が砂を捲く。この泥に重い靴を引きずり、この西風に逆らうだけでも頬が落ちて眼が
血走る。東京はせちがらい。君は田舎が退屈だと言って来た。この頃は定めてますます肥....
「南極の怪事」より 著者:押川春浪
を防がん、数十枚の毛布はすでに着尽したり、もはや着るべきものは一枚もあらず、余は
血走る眼に四方を見まわせしが、フト一策の胸に浮ぶやいなや、狂獣のごとく走って船底....
「沙漠の古都」より 著者:国枝史郎
の毛に蔽われた身丈ほとんど八尺もある類人猿がただ一匹樹枝を雷光のように伝いながら
血走る両眼に獲物を見すえ黄色い牙を露出しにしてその牙をガチガチ噛み合わせながらこ....
「南国太平記」より 著者:直木三十五
という感じとを受けて、腰を草の上へ落してしまった。
「卑怯、卑怯」
奈良崎は、
血走る眼、歪んだ脣、曲った眉をして、叫んだ。誰に叫んだのか、自分でも判らなかった....
「雪柳」より 著者:泉鏡花
よ、貫木をも鎖せ、掛矢で飛込んでも逢いたい。心に焼くように、雪の家の空あたりが、
血走る目で火の手になり、赤いまでに見えるけれども、炎を水にし氷にしても、お孝とい....